たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

食は映画なり/お茶漬の味

こんな些細なことが映画になるんだね
それが小津映画の凄さかもしれないね

小津自身は「出来の悪い映画」と言っているが
なんか凄いなぁ、やられたなぁと唸った<お茶漬の味>

ブルジョア一家の流れをくむ妻と
長野から上京し出世した素朴な夫の夫婦間の「不一致と一致」

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ふたりはお見合い結婚、良い家のお嬢さんと将来有望で優しい男の縁談はお似合いの夫婦像に見えたかもしれない。しかし、実際には二人の女中に家事をやらせ、気ままに遊んでいる妻と、妻に隠れて犬めし(ゴハンに味噌汁をかけて食らう、ネコまんま)が大好きな夫では気が合うこともなく、夫は和室に、妻は洋間で床を別々にする夫婦関係だ。一方、妻の姪っ子には良い縁談話があるが、お見合いの席から逃げ出してしまうほど、親に決められた結婚を望まない娘で、義叔父の後輩男性と知り合い徐々に惹かれていく。ある時、夫と口もきかない生活が続いた妻は神戸の友人を訪ね家出する。しかし、夫には急遽中南米に転勤の話が出て日本を旅立つことになった。はたして、妻は羽田空港の夫を見送ることもなく、遅れて帰京する、友人や親戚から叱責を食らうことになる妻は旅立った夫を想い、寂しい気持ちになる。そこに夫が突然帰宅した。飛行機のエンジントラブルにより舞い戻ってきたのだ。眠っている女中を起こさず台所に立つ夫婦、ふだん台所に入ることもない妻と夫はどうにかこうにかお茶漬けを作り、ふたり向かい合ってお茶漬けを食べる、、、






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鶴田浩二東映ではなく松竹
しかも小津作品に出ているのが不思議に感じる

にっかつで
裕次郎と出会う北原三枝もチョイ役で出演

この映画の後
上原謙と死別する先妻も出演、、、

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洋間であってもローポジを貫き通す小津は
自分のスタイルとして既にローポジから引くに引けなくなったのか?

だからといってローアングルで洋室感を出そうともせず
あくまでもローポジにこだわるのだ

ローアングルならまだしも
ローポジだと少し気持ち悪い

ときどき
間違って言葉使っている人がいるけど
被写体と同レベルで低い位置=ローポジ(小津)
被写体よりも低い位置より煽り気味=ローアングル(オーソンウエルズ等)、、、

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ラストのお茶漬けの伏線になっているのだけど
鶴田と津島恵子がラーメンをすするシーン
ここがイイね

「美味しいものってあるけど、安くなきゃダメなんだよ」

「高くて美味しけりゃ当然でしょ」ってことだよね
高級なものばかりを食べ、犬めし(ネコまんま)に怒る妻が
最後にお茶漬けを食べて「美味しい」と漏らす
これを言わせるがためだけの映画
(そんなのが立派な映画になっちゃう、尊敬!)、、、

とんかつ屋「カロリー軒」(同監督の<秋日和>にも登場)の看板が
二度も登場するのに
結局そこでの食事シーンや店内は描かれない、、、クスッ

そして
なんといっても
この映画の一番の見せ場は「台所」シーン
マジ、いいわぁ、ただ台所で茶漬け作るだけなのに、サスペンスフル~

こんな些細なことが映画になるんだね
それが小津映画の凄さかもしれないね

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