罠に嵌めようとしているわけでないので
<罠>というタイトルには違和感を感じる
原題<SET UP>には
「仕掛ける」「嵌める」というニュアンスがあるので
そういう邦題になったのかもしれないが
隠語の「八百長」こそが
この映画のタイトルとして正しい
ただし物語では
主人公には八百長試合のことは告げられず
主人公以外が主人公の「負け」を信じて試合が進行する
主人公は峠を越したボクサー
すでに昔の力はなく連敗つづきだが
ボクシングだけしか知らない人生で
ターニングポイントを見つけられずにいる
そのため常に妻(恋人?)は心配している
いつも引退することを勧めているが
当の本人は踏み切れない煮え切れない
ボクシングの試合の光景も良いが
むしろそんな男女の関係や感情や
ロッカールームでの
周りのボクサーたちとの関わりが興味深い
ラスト
バッドエンドにも思える形で
本人の意思とは関係なく
人生のターニングポイントに差し掛かるのが皮肉だ
監督はロバートワイズ
少なからず縁のあるオーソンウエルズばりの画も目を魅く