刺青
が
この映画に関しては
増村保造の映画と云うよりも
息をのむほどの美しさ
宮川一夫の数々の最上級の仕事の中でも
特筆すべき作品だ
刺青は「青」を刺すと書く
「青」を刺して
出た血の「赤」が混じると
「紫」になる
この映画では
かなり意識されて
「紫」が非常に印象深く出ている
寿司屋で醤油のことを「むらさき」と呼ぶ
「黒」ではないのだ
この作品では
墨の色も黒ではなく「紫」に寄っているし
着物、着物の柄の格子部分にも
さらには
襖、箪笥、板床、服紗、畳、絨毯、
白いはずの障子でさえ紫がかっている
黒い部分(陰の部分)、壁、傘、雨、
そして闇さえも「紫」がかっている
そして
「完」の文字も
珍しく「紫色」だ
「金」や「位」を色で表すと「紫」だそうだ
高貴な物、高貴な人の色である
質屋(=金持ち)の御嬢さんの
女郎蜘蛛を背負わされた運命