原作でのスピンクスのくだりは
「一つの声をもちながら、朝には四つ足、昼には二本足、夜には三つ足で歩くものは何か。その生き物は全ての生き物の中で最も姿を変える」というスピンクスの謎かけ
この謎が解かれた時スピンクスの災いから解放されるであろうという神託を
テーバイ人達は得ていた為この謎を解くべく知恵を絞ったが
何人も解く事は出来ず
多くの者がスピンクスに殺され喰われてしまう
テーバイに来たオイディプスは
この謎を解きスピンクスに言う
「答えは人間である」
「何となれば人間は幼年期には四つ足で歩き、青年期には二本足で歩き、
老いては杖をついて三つ足で歩くからである」と、、、
この原作のくだりが
<アポロンの地獄>では語られず
あっけなくスピンクは殺される
しかし
知性のない
そのような見せ方が
いっそうこの映画を
土着的な
人間の本能的なものを描けていると思うからだ
アポロンの地獄
パゾリーニでよくいわれるのは
「自然主義」
道徳に対して
人間の欲望、本能、素質など自然的な要素で捉えること
人間のあるがまま姿
それに相応しく
一切のスタジオセットは使わず
徹底したオールローケション
同じ古代、神話の時代の映画でも
十戒やベンハーとは
一目瞭然
まったく違うもの
違う種類の映画になっている
チャールトンヘストンのような
大スターも出てこない
凝った大がかりなセットも美術もない
演技を引き出すような狙った演出も
カット割りもない
音楽が面白い
日本の神道の音楽らしき
雅楽、神楽のような調べが流れている
素晴らしいロケーション
その中での劇
形式ばらない劇
パゾリーニの世界
ほかの監督のものではない独特の世界観