「女性映画の巨匠」
吉村公三郎の<暖流>を観た
戦争を知らないボクたちから見れば
戦前のイメージからかけ離れた
意外にも洗練されたメロドラマ
これが
あとほんの一年でも遅く制作されていたら
公開されることもなく
完全に埋もれてしまっていたのかもしれない
その意味では
時代の波を逃れた幸運な作品で
公開当時は社会現象的に大ヒットしたそうだ、、、
物語は
病院を舞台にした金銭闘争、権力闘争と男女5人の恋物語、、、病院の再建を頼まれた主人公(佐分利信)と病院オーナーの娘(高峰三枝子)の確執と恋愛感情を軸に、しかし権力闘争は薄すめで、中盤からはほとんどメロドラマの様相に、、、
とても
監督デビューしたてとは思えない
手慣れた演出が度々目につく吉村公三郎の手腕
たとえば
一人の男を巡って
男に愛情を持つ二人の女性が
喫茶店のテーブルをはさみ向かい合う
2トーンカラーのテーブルクロスが意図的で
中央で二色に分かれ
まるで二人を対比するようだ
また
タバコが印象的だった
プロポーズを断った主人公の女は
男が残していったタバコの吸い殻を手に取る
一方
結婚を断わられた主人公の男が家に帰ると
家の前に男に憧れている女性が立っている
二人は体を寄せて
女が男のタバコに火をつける
タバコで女性の立場の逆転を予感させる
病院ものなら
<白い巨塔>よりも
ボクはコッチの方が好きかも
というか
映画ファンの必見の
戦前の傑作といわれる本作品よりも、
増村保造リメイク版は
もっと面白いそうだなのだ、、、未見(無念)