皆が思うことと実際は違うことがある
たとえば
うちの妻はひまわりが大嫌いだという
「皆は元気印を花にしたような明るい天真爛漫なイメージのひまわりが好きだけど、
ひまわりが枯れた時の首をダラーンと垂らした恐ろしさを含んだ汚らしさってないよね、私は嫌い」と、
もしかしたら
妻の感性はアニエスヴァルダに近いのかもしれない、、、
タイトルクレジットでは
真正面から捉えたひまわりのアップと
すこし元気のないひまわりの引いたカットが交互に映し出される
そして
そのひまわりの後方から4人家族が手をつないで向かってくるが
ピンがボケて正体はハッキリとしない
幸福や家族の姿を確かに捉えるが出来ないことを画で表している、、、
物語は
幸福な家族が幸福な日々を送っている。しかしある日夫は郵便局を訪れた際に女と知り合い、その後仲を深めていく。愛人となった女は自分の立場を受け入れていたが、夫はそのことを妻に告白し、「もしイヤなら愛人とは別れる」と告げるが、妻は家族が眠っている隙に池に身を投げ死ぬ。しばらくして夫は愛人と結婚し、また新しい家族として手をつなぎ、いつもの森へとピクニックに出かける、、、
赤と青、妻と愛人の洋服の色
まるで自らの置かれた状況を暗示するかのようなシーン
アニエスヴァルダは非常にユニークな人
決して奇抜でもハッタリでもなく
シャレている、面白い
洋服の配色がシーンごとに適切
それを意識してみていると面白い
衣・食・住
妻は裁縫で家計を支え
夫は大工
家庭を示す分かりやすい設定
子供たちは食
愛人は性
凝ったカットが並べられる
こういうハイキーなショットも
オシャレでカッコイイ
他のひとがやるとあざといカットも
彼女だとチンケにならない
全編にわたり管弦楽のモーツャルトが流れているが
このラストでは同じ曲ながら弦楽器だ
アニエスは
<5時から7時までのクレオ>が白黒の美しいセンスなら
<幸福>はカラーのシャレたセンス
もっと綺麗な
最高のプリント状態で劇場で観てみたい、超傑作、、、