昔
テニスの壁打ちが流行っていた頃
とくに千駄ヶ谷がその聖地みたいなところだったけど
あまりにも混んでいたので、
ボクは
首都高速道路上で壁打ちをやっていたんだよ
首都高といっても
お台場がまだ「13号地」と呼ばれていた
その先はまだ工事が進んでおらず
お台場(13号地)が終点のような場所になっていて
しかも車が来ない
来ても
ほんのたまにトラック(パッカー車)が通りかかるくらいで
そんなゴミの島に来る一般車両は全く無し
そこでボクは車を駐め
テニスラケットを持って高速道路上に出て
壁打ちをしていたんだよ
東大井からの海底トンネルを抜けたあたりの
今のお台場の出口付近
今でもそこを通りかかると
ボクだけの「壁打ちスポット」を思い出しニヤニヤする
今思うと
やっぱり昭和は大らかな時代だったねぇ
今なら
仮にそれに近い状況の場所があっても
確実に、、、捕まるよ
しかも
ニュースになるよ、、、
長々と余談になってしまったが
長らくメデイア化ソフト化されていなかった
今村昌平監督の初期作品2作品がDVD化されたね
デビュー作の<盗まれた欲情>と
2作目の<西銀座駅前>
だから「埋もれがち」だった2作品が
やっと地上に現れた格好で
さっそく両作品とも鑑賞したが、
その<西銀座駅前>で
有楽町の数寄屋橋上の首都高の風景が登場するんだよ
まだ工事途中のため
ちょうど数寄屋橋の交差点の上あたりで
道路は途切れているんだよ
それを見てね
ボクの若かりし頃の
13号地のテニスの壁打ちのことを思い出したのさ、、、
a、b、c、X、Y、Z、、、♪
フランク永井は知っているけど
このヒット曲(らしい)は知らなかった
その歌をタイトルに据えた
50分そこそこの歌謡コメディのプログラムピクチャー
導入部が非常にいいよ
フランク永井が映画が始まることを宣言して
ミュージカル風に観客を導いていく冒頭
ツカミはOK!
こんな始まりだと
わくわくして映画にノッていけるね、、、
映画は
今村版<虹を掴んだ男>のような
妄想と現実を絡めたコメディタッチ
なにしろ
銀座から南海の孤島(?)まで移動する
その距離感がたまらないね
デビュー作の<盗まれた欲情>を観ると
とても新人監督のデビュー作とは思えない手慣れた
余裕さえ感じる落ち着きと
堂々たる演出、キャメラワークで
類まれなる才能を感じさせていたが
実はあまり面白くない
こちらは
スケールこそ小ぶりになったが
まるでベテランの職人監督のような仕事ぶりで
傑作は言い過ぎだとしても
たいへん面白い
あらためて
今村という才能を認識をさせる一本だ、、、