Born To Be Blue
伝説のジャズトランペッター
チェットベイカーの物語
その導入部が非常にいい
牢屋の中で震えながら
冷たい床に伏している彼
目の前にトランペットがある
トランペットの吹き出し口の
丸で洞窟の中から這い出てくる蜘蛛
そいつがトランペットから這い出て
床に伏した彼の顔に向かってくる、、、
怖いねえ
もちろん
牢屋の中にトランペットを持ち込めるわけもないので
それは彼の幻想なんだね
そして蜘蛛だね
それも蜘蛛といっても
ゴッツイやつだね、タランチュラってのかな、毒蜘蛛だね
そいつは一撃で彼を殺すことが出来るわけだね
彼は
トランペットなしでは生きていかれない
そんな命よりも大切なモノの中から
彼を殺すこともできる毒蜘蛛が棲んでいるのだから
生きるも死ぬも
常に彼は死と隣り合わせなんだね
彼にとっての毒蜘蛛はドラッグだね
まさに
ドラッグと共に生きなくてはならない宿命
導入部で既に
バッドなラストを暗示させる
それは
彼がもがいてもがいて地獄から抜け出そうとすればするほど
そして抜け出せたと思わせるほどに
むしろ、イヤな予感が漂ってくるんだね
それを暗示させる立派な導入部だ、、、