ソ連映画の名作<誓いの休暇>の
グリゴ-リチュフライ監督の処女作
砂漠に埋もれてしまっているような映画だけど
是非とも観ておきたい傑作だ、、、
一九一七年、革命に次ぐ内乱時代のこと。コザックと戦って生残った二十三人の小部隊がカスピ海に近いカラ・クム砂漠を疲れと渇きに耐えつつ赤軍本隊に辿りつこうと北へ進む。マリュートカ(イゾルダ・イズヴィツカヤ)は、この部隊の紅一点。小柄だが隊随一の名射手。三十九人の白軍兵を血祭に上げている。そして今、彼女は四十番目を射止め、更に砂丘の向う、隊商の中に潜む白軍将校を狙い射ちした。が、将校は一たん倒れたが再び立上り、投降してきた。隊の政治委員イェシュコフはその“四十一番目”を司令部に護送するためマリュートカを監視につける。捕虜は反革命軍の中尉で密命を帯びていた。砂漠の行軍は難渋を極め部隊は十一人に減ったが、捕虜を連れたマリュートカ始め同志は遂にアラル海岸のカザフ人集落に着いた。夜営の小屋でマリュートカは詩を書いた。それがきっかけで彼女と捕虜の緊張がとけて行った。しかし政治委員は、捕虜を司令部に急行させることを命令、小舟にマリュートカと捕虜、ほかに二人の隊員をつけて行かせる。政治委員は白軍にあったら捕虜を殺せとマリュートカに警告した。ところが、やがて海が荒れだし舟は波間に翻弄、二人の同志は海中に没する。マリュートカと捕虜は漸く孤島にはい上った。焚火で服を乾すうち、マリュートカは捕虜がひどい熱であることを知った。優しい感情が彼女の心を占め、親身に捕虜を介抱した。マリュートカは回復した彼に今までにない不思議な歓びを感じた。捕虜も彼女の荒削りな娘心に強くひかれる。二人きりの孤島の生活に互いの愛情は火と燃え始めた。捕虜は二人の将来を夢みる。だがマリュートカに、この革命の時代から外れて生きることは到底考えられない。二人は悩むが、そうしたある日、沖に船影が見えた。嬉しさにマリュートカは捕虜に合図するよう命令するが、やがて近づいた船は白軍のものだった。それを知るや捕虜は船を目がけて走りだした。マリュートカは一瞬銃をとり銃声一発“四十一番目”は倒れた。しかし次の瞬間、マリュートカは銃を投出し、波に洗われる恋人の亡骸を取抱いていた。...(映画.comより転載)
今でこそ
ハリウッドでは女スナイパーがもてはやされているけど
この当時のソ連はハリウッドより60年も先を行っていたんだねぇ
女がクールでカッコイイんだよ
男所帯にいるから
中には女として彼女を見つめる男もいるけど
触れることは出来ないほど危険なんだよ
強さと厳しさを持ち合わせる女に上官も全幅の信頼を寄せている
だから捕虜が例え男であっても彼女に任せて護送させるんだね
ところが、寝るときも体を重ねて常に一緒にいうるうちに
危険な女マリュートカも徐々に「女」の部分を見せ始めるね
赤軍、革命の女戦士と
白組、ブルュジョワの男、ふたりの愛と葛藤
思想を超えた愛と、思想での衝突、、、
政府を打倒して共産主義の国を樹立することを信じる女に対し
男は「そんな汚い仕事はやりたいヤツらにやらせておけ」と言うのだね
この無人島で二人きりでもいいし
それとも男の別荘でノンビリ暮らそうと提案する男
無人島ではあるけど
甘く幸せな時を過ごす二人に
ときどき女は我に返ったように「革命」の志を思い出し
ブルジョア的な発想とぶつかりあう
革命戦士として
この女がどうやって育って来たのか俄然興味が沸くね
でも、それは語られない
画が美しい
逆光が美しい
イーストマンでもフジでもない
アグファの流れを汲む、いかにも「東」の画調
これが本編の作風に
たまらなくマッチしている、、、