昔昔
ボクがクズだった頃(今でもだが、)
妻はボクと離婚するかどうか迷っていたようで
悩んだ挙句に
ある日友人から勧められた占い師を尋ねた、、、
占い師は
大きな水晶の玉をのぞき込んで
妻の前世が見えると言い
話し始めた、、、
妻は旅芸人一座の看板女優で
夫がその一座の座長を務めていたが、
ある日夫は悪い奴に殺され
一座を乗っ取られてしまった
それから
妻と妻の子供は
奴隷のような不憫な生活を送る羽目になっていた
そんな辛い日が続いていたある日
たまたま一座と茶屋で居合わせることになるのが、ボク
ボクは立派なお侍さんで
殿さまに仕えると共に
自分の道場をもつ師範でもあったそうだ
妻は藁にもすがる思いでボクに助けを求め
ボクはこの一座から妻と子供を救ったそうだ
その後
妻と子供はボクの道場で暮らし
何不自由なく幸福な生活を送っていたが
ボクと妻が結ばれることはなかった
頭も良く、力も強く、心も優しく強い
人格的にも経済的にも申し分なく
人望もあり誰からも信頼を受けるような
完璧な男がボクだったそうだ
妻はボクと一緒になりたいと願っていたが
ボクは妻と結婚することなく
この世を去ることになる、、、
つづく