齊藤工
カッコイイだけでなく
将来有望の俳優だが
今回
監督業に初挑戦するとのことで
かなり期待していた<Blank13>
なぜなら彼は
CM制作会社に勤めていた父親の影響で
幼少の頃から映画に親しんで育ったからだ
35年ほど前
日大芸術学部の映画学部の教授と話したときのこと
「最近の学生は芸大の、しかも映画学部にいながら、ちゃんと沢山映画を観ている学生が少ない」と教授は嘆いていた
今は更にその状況が強くなっている
周囲の学生に観るべき映画
しかも比較的一般的な映画を奨めている次男に聞いても
「タクシードライバーつまんない」
「2001年宇宙の旅、瞬殺で寝た」
「カラーでないと観る気がしない」と
最初から白黒作品を決めつけ
観たとしても「白黒映画はつまらない」といい
無声映画に至っては
「オレを苦しめる気か!」と言わんばかりだそうだ
まったく
箸にも棒にもかからない現状だそうだ、、、
きっと
娯楽ヒット映画以外は
語られることがなくなる日が間近に迫っている
うちの次男は将来
数少ない映画の語り部として
限られた人たちとだけ映画を語り合うことになるだろう
かなりかなり話がそれたが
齊藤工
そんな時代の中で
映画を数多く観てきただけの成果を
この初の劇場公開用作品で示してくれると期待したのだ
ところがね
これは演劇なんだね
演劇の延長線に
映画というフリカケを振りかけて
映画の体裁に整えているだけなんだね
かなり良いアイデアで
面白い台本だとは思うけど
映画ではないんだよね
げんに言っちゃってるよね
「なんで俺はこんなに苦労しなくちゃいけないんだ!」とか
たくさん参列者がいる葬式と
ほとんど参列者のいない葬式を比べて
「人間の価値を見せつけられたようだ」とか
こういうのセリフにしちゃダメだよね
だってね、
ちゃんと撮れてるんだもん
ちゃんとそういう風に観客は観ているのに
自信がないのかな?
再三言ってるけど
画に(画の意味をもった)セリフをかぶせちゃいけないよね
自信をもって省かないといけないよね
物語は
父親の借金で借金取りに追われる貧しい家族、父親はある日突然消息不明となった、苦しい生活の中で育った子供たちは大人なり、父の葬儀を執り行うことになるが、そこに参列した人々から、消息を消していた父親の13年間と、父親という人物を知ることとなる、、、
葬儀の立派さ
生きた人の価値
そんなものは葬式の大/小ではないんだよ
命ってものは同じ重さなんだよね
そういう監督や原作者の想いはいいけど
お人好しで
他人には尽くす人なら
その前に家族をどうにかしなよ!と言いたくなって
まったく共感できないんだよね
これではただの「独りよがり」
他人から「良い人に思われたい人」でしかないんだよね
たくさんカット割ってみたり
思い出したように長回しにしてみたり
一貫性もまったくなし
それでも
そこそこ話は面白いから
観ることはお勧めするよ
齊藤工
才能ある人だと思うから
ボクはこれからに凄く期待している、、、
3☺