遺作となったボガートの
彼らしいハードボイルな
フィルムノワール
ロッドスタイガーとの競演も
見どころ
失業中のスポーツ記者エディ(ハンフリー・ボガート)はある日拳闘選手のマネージャー、ニック(ロッド・スタイガー)に、トロ(マイク・レーン)という選手の売り込みを頼まれた。トロは力量はないが7フィートもある巨人で、これをあてこんで相手を買収して八百長試合をしようというのがニックの腹だった。第1回の試合は難なくKO勝ち。こうした裏面工作によって次々と相手を破っていった。トロの人気はあがり、ニックの思う壷となった。やがて前ヘビィ級チャンピオンのガスと試合を行なうこととなった。その試合では、前の試合で頭を殴られたためか、ガスはトロのあっけないパンチに倒れ、脳出血で死亡してしまった。その結果ヘビィウエイトの選手権をかけてブラナンと戦うこととなったが、その間際にトロは、母が殺人をやめろというから出ないと云い出した。ニックが蒼くなって翻意させようとしたがきかないので、遂にエディが彼の試合のインチキを暴露した。しかも今やめて帰ると無一文だし、今度の八百長なしの試合は負けても勝っても金を持って帰れると納得させた。こうして行なわれた試合は、トロの烈しい闘志にも拘らず、ブラナンのパンチにあっけなくダウンした。翌日トロのためにエディがニックの所に受け取りに行った金は、百数十万ドルの収入のうち僅か49ドル余りだった。しかもニックは、トロをいかさまマネージャーに売りとばし、田舎の見世物にしようとしていた。さすがのエディも、金のために血も涙もないニックの態度に腹をすえかね、敢然とこうしたボスに立ち向かうことを決心した。そして、「殴られる男」の原稿を書き出したのである。
南米から連れて来られた大男は
図体ばかりがデカイだけで
ボクシングはまったくの素人
本人が知らないうちに
どんどんと虚像として創り上げられていく、、、
ゴダールが
代表作<勝手にしやがれ>の中で
本作を登場させるほどのお気に入りの
ほんとうに面白く
埋もれがちなのが惜しい傑作だ