たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/ヤンヤン夏の想い出

名作<クー嶺街少年殺人事件>が
リバイバル上映されたり
ソフト化、メディア化されたり
レンタルも開始されるとあって
がぜん再注目、再評価のエドワードヤン

その<クー嶺街少年殺人事件>の影に隠れ
埋もれがちな<ヤンヤン夏の想い出>も
素晴しい傑作だ

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これが生涯8本の作品を遺し
59才でその生涯を閉じた
エドワードヤンの遺作となった

彼自身の少年時代とも思える
ある4人家族のそれぞれの物語

原題は「Yi Yi: A One and a Two」

本編は「夏の想い出」という感じではないのだよね
配給会社の狙いはあっただろうけど
イメージと違う印象を観客に残すことになるね

それはきっと
当時、同じ台湾ニューウェーブ
侯孝賢の<冬冬の夏休み>というタイトルの影響を
少なからず受けているのではないだろうか?

物語はタイトルのヤンヤンばかりでなく
家族(父、母、姉)のそれぞれの秘められた物語が同時進行で
多くが1シーン1カットで描かれている

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一緒に鑑賞していた次男が
「扉がたくさん登場するね」と言い出した

たしかにそうだ
かなり意識されて扉のそばでの場面が登場する

「内と外」の世界
「開/閉」された心理
「出/入」する行動


またまた次男が言いだした
「扉ってさぁ、ルビッチが好んで使うよね」
「そのルビッチに大きな影響を受けているのが小津だよね」
「その小津をリスペクトしているのがエドワードヤンだね」
「つながるね」

ボクはいかにも分っかているかのように「ふむふむ、そうだね」と頷くが
ぁ、そうなんだね、、、

あ、そういえば熱海のシーンがムリムリと思えるように登場するね
熱海の必要性はないけど
監督には思い入れがあるんだとすれば合点がいくね

それと
小津ばかりではなく
成瀬っぽさもあるね

そう思うと主役のお父ちゃんが森雅之に見えてくるね
森雅之より優柔不断ではないけど、、、

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植物人間になったおばあちゃんと
お姉ちゃんの「懺悔」と「和解」に至っては
まるでベルイマンだね

そしてね
「起承転結」で様々な「宴」のシーンが入る
その語り口に至ってもベルイマンぽいよ

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網膜剥離で片目を失った際にこう言ったね

「これで、今まで見えなかった相手の後ろ(裏)の部分が見えるようになるんじゃないかと思うのよね」

劇中のセリフでも

「後ろ姿は自分では見えない」

そう言ってヤンヤン
周りの人々の後ろ姿を写真に収めるね、、、

約3時間の長い映画だが
これは良い映画だ!

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