たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/ケス

実は日本でもそれなりに評価されている
ケンローチの<ケス>だが
それでも作品の質の割に
あまり語られることが少ないと感じるので
埋もれがちとする、、、

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最近日本で<犬猿>という映画があったが
あの兄弟と同じような関係

兄貴がとことんクズなんだよね
自分勝手で相手を自分の思うようにコントロールしたがる
弟は大人しくて兄貴に抵抗ができない
それでも最後の最後抵抗するね
<ケス>もまったく同じ

それでも若干の優しさも一瞬見えた<犬猿>に比べ
<ケス>のクズ兄貴は優しさの欠片も見せない
心底のクズなんだよね

そして母親もクズ
いい年こいてパートナーを求め夜な夜な遊んでるババア
小銭を置いて主人公の少年に「パンでも食べな」
完全なネグレクト

少年が学校に行けば
不良グループにいじめられる
でも少年は抵抗するね
でも、小さな体でケンカをしてはボコられる

そして教師もクズ
生徒に混じってサッカーをしても
理不尽なルールで子供相手に大人げないプレイ
そのうえ日常的に高圧的で体罰が絶えず
力で子供たちを抑え込もうとする

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そんなクズ連中に囲まれて閉塞な日々を送る少年は
早起きして新聞配達のバイトをしている

バイト途中牛乳配達の車から牛乳を盗んだり
書店では欲しい本を盗む
そして親鳥からは幼い鷹(もしくは隼?)を盗む

やっている行為は悪いことなのだが
『こいつも周囲のヤツらと同様クズの一員だな!』とは思えない
それは同情でもない

鷹の子を盗んで育てる少年は
動物の飼育の仕事でも探せば良いと思うのだが、
職探しは金のためであり
少年にとっては明るい未来でも、夢でもないんだね
未来がまったく見えず希望がない

芯は強い子なのに
明日に進む手段が見いだせず
考えも及ばないから
見ている観客の胸が苦しくなる

「鷹はペットではない」という
なつくわけではないのだ
「見させてもらっている」と謙虚な言葉が口をつく
でも、謙虚なわけではない
本当にそうなのだ

コントロールしている気がしていも
しょせん気を許しているとは限らない

人も同じ

いくら貧しくても
体力が劣っても
勉強が苦手でも
人が人を力で抑え込もうとしても
決して心の底から服従することは無いのだ、、、

これが
先ほど言った
『こいつも周囲のヤツらと同様クズの一員だな!』とは思えない
その理由なのだよ
この少年と周囲の人間の違い

服従させる、飼育するという
一方的な行為や考え方ではなく
この少年はむしろ鷹をリスペクトしている
どんな相手に対しても持つべき尊厳、尊重だね

登場人物の中で少年だけが
鷹を育てる過程でそれを知る。

傑作です。

絶対に観るべき名作、、、

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