昔昔
競争激化のため「本体0円」で
携帯電話が売られていた頃のこと
メーカーに勤め
携帯電話の開発に身を置いていた友人が
そんな現状を目にして悲しげに呟いた
「オレが精魂込めて作った携帯電話が、タダで売り渡されているのだ」
そんなことを
この映画を観て思い出した、、、
今年前半韓国で
日本映画のリメイク版がヒットしたというので
そのオリジナル日本版<リトルフォレスト>を観てみた
目に優しく、目に美味しい、フォトジェニックな映像
緑が美しい自然の姿に癒される
「やっぱ、いいなぁ、田舎って」と一瞬思うが、
ボクのようなせっかちで、
短気で、面倒くさがりの、根性無しに
無理なのは分っている
アウトドアさえ苦手なボクには
田舎生活は憧れ以上の手の届かないもの、、、
東北地方の、とある集落「小森」を舞台にした映画
だから、映画のタイトルが「リトル(小)フォレスト(森)」なのだ
ロマンチックな題名は
ただの地名だということを知り、和む、、、
一軒も店のない
森と沢と田んぼに囲まれた集落に
一人暮らす主人公の女性は
ほぼ自給自足で生活している
そこで作られる様々な食材や料理が
目に美味しいのだ
きれいな、気持ちいい料理本に登場する写真のような
テレビコマーシャルの料理シーンの一コマのような
観ているだけで癒されるシズルのショットがお洒落
FIXの画ばかりで面白みには欠けるが
美しいのでまったく飽きない、、、
ストーリーはほとんどない
だから「起承転結」もない
だからといってドキュメンタリーでもない
登場人物のほとんどを役者が演じている
説明も薄く
事情がよく分からないが
ときどきストーリーらしき展開になり
おぼろげながらに
主人公の女性が以前男性と街で暮らしていたこと
街の生活に疲れ実家の集落・小森に戻ってきたこと
5年前に母親が突然姿を消し、それ以来独り暮らしをしていること
そんなことが分かってくる
しかし
あまりストーリーは関係ない
彼女の生活ぶり、農作業、食材・料理作り
集落の人たちとの交流を、眺めている映画
つねに一人称で語られ
<孤高のグルメ>のスタイルに似ている
しかし
こちらは少し硬派な部分ものぞく
手間や時間をかけて作られたものを
文明社会では何でも簡単に手に入り
次々と消費されていく
なんの本質も知りもしないで、、、
キツイ言葉もある
都会では中身のない薄っぺらな言葉が飛び交って
知りもしないのに、どこからか得た知識で喋る
「(他)人に殺させておいて、文句を言う」
(これは家畜や魚を意味するし、例えでもある)
この映画を観て
だからといって
分ったような気になってはいけない
そこに身を置いて
感じなければ本質は分からない
主人公の女性も呟く
「自分の身体で感じたものしか、信じない」
韓国版では
韓国人の嗜好に合わせてテンポよくリメイクイしたそうだが
こういう映画こそスローな作風でみせなくてはいけないだろうと、思うのだ、、、
マジ、癒される映画だわぁ~
3.5☺