ハリウッドは
優秀なドイツ人監督たちに支えられてきた歴史がある
ワイラーもドイツ系といえる
そして
マックスオフュルスも、その一人
日本でいえば成瀬巳喜男のような作風ともいえる名匠
その代表作の一つ
<忘れじの面影>
Letter From An Known Woman
同じアパートに暮らし接点があったり
その後再会して一夜を過ごしたり
それでも十年後の再再会時にも
女を「覚えていない」と口にする男
すっとぼけているのか
単なる遊びだったのか
はたまた多くの女性遍歴を繰り返したため
いちいち過去の女たちなど覚えていないのか
何しろ
原題が「Letter From An Known Woman」だからね
この男にとっての女は「見知らぬ女性」
その一方で
一途に思い続ける少女(そして大人になった女性)の心を思うと悲しいね
胸の苦しくなる物語
1900年ごろのウィーン。かつては天才ピアニストとして持てはやされたが今は荒れた生活を送るシュテファン・ブラント(ルイ・ジュールダン)は、決斗を挑まれ夜逃げの準備をしていた。すると、リザ・ベルンドル(リーザとも、ジョーン・フォンテーン)という女性からの手紙が届いていた。手紙によると――
少女時代のリザは、母(マディ・クリスチャンス)と、アパートで2人暮らしをしていた。ある日、アパートの隣室に、ピアニスト(原作では作家)のシュテファンが引っ越してきた。リザはシュテファンに恋してしまうが、蔭から慕うばかり。そうしているうちに、母が再婚を決め、再婚相手の住むリンツにリザを連れ引っ越してしまった。
リザは18歳になるとウィーンに戻り1人暮らしを始め、ピアニストとして成功したシュテファンと再会するが、シュテファンはリザのことを覚えていなかった。シュテファンと1晩をすごしたのち、シュテファンは2週間の予定でミラノに旅立つが、帰って来なかった。リザは妊娠しており、男の子を産んだのち、裕福な貴族ヨハン・シュタウファー(マルセル・ジュルネ)と結婚した。
歳月が流れたある日、リザはシュテファンと再会した。シュテファンはピアノをやめており、そればかりかまたしてもリザのことを覚えていなかった。リザはシュテファンの家を訪れたが、リザのことを思い出さないシュテファンに幻滅し、シュテファンの元を去った。
その直後、リザの息子はチフス(原作ではインフルエンザ)で死に、リザも感染していた。
ラストは
負けを覚悟して女の夫との決斗に向うのが、いいね
それが
男の女への懺悔であれば、いいね、、、
ぐいぐい来る作風ではない
インパクトが強いわけでも
ストーリーが凝っているわけでも
画が凝っているわけでもない
それでも、なんか観ちゃう、それこそ成瀬のよう、、、
リストのピアノ曲<ため息>♪が胸に染みる
(フジ子ヘミングウェイの十八番だね)
日本では埋もれがちな傑作、、、