たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/春香傳

世界的映画の権威のひとつ
英国のサイト&サウンド
映画史上のランキングでも有名だが
どうしても欧米の映画が主流になりがちだ

最近では古いロシア作品の発掘や
アジアにも目を向けてはいるが
過去の優れた日本映画でさえまだ多く選出されない

ここで一つの韓国映画が目につく
たくさんの票を集めているのが
<春香傳>だ

春香傳といえば
韓国の忠臣蔵とも呼ばれるほど
国民に広く知られ
何度も劇、映画、テレビ化される古典的な作品だ

その中で2000年制作の本作品は
日本でいえば薪能狂言のような
韓国の伝統的芸能であり
物語に節を付けて語る様式のパンソリが
狂言回しで本作の効果を高めた
韓国映画の名作中の名作とされている

ところが
先ほどのS&Sの投票だが
結局、組織票のようにこの作品に投票している選者は
韓国の映画評論家ばかりだ
韓国らしいと言えば韓国らしいが
それほど韓国人が推す映画なら観てみようと鑑賞に至った、、、

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パンソリがいいね
力がある
観客を引き込む術がある
これを映画の最初に持ってこられたら
ツカミはOK!と、言わざるを得ない

撮影に関しては
パンやドリー、ズームを多用
落ち着きがないほどキャメラが動き回る

しかも中途半端なドリーアップなど
なんの意味も効果もない

一度だけ
非常に良いロングから良いミドルのサイスに
うまいこと移動してみせたのには感心した
総じてキャメラ動き過ぎ

ある意味
ほとんどミュージカルともいえるが
ミュージカルらしい躍動感もない

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これ、キーセンの恰好じゃないよ
チマチョゴリなど着てはいないはずだよ

それとチマチョゴリだけど
今のように艶やかな色彩になったのは
歴史的にはそう新しいことではないそうなのだ
そもそも韓国には染色技術がなく
ほんの一部の特権階級だけが
中国から輸入した生地を使うことができ
自ら染色技術を取得するのはだいぶ後のことらしいのだ

この映画ではそんなことはお構えなし
結局韓国もハリウッド的な考え方だから
リアルや正しい歴史よりもエンターテインメントなんだよね

キーセンについてもそう
韓国の歴史的性産業キーセンって
今では「なかった過去」に韓国がしようとしているが
もしくは美化されているが
「遊女」というか「売女」だよね

ところが
この映画の主人公のキーセンは
まるでお姫様のように描かれている

キーセンの衣装は本来
男たちに裸体を見せるために作られた透けた絽の衣装だが
ここではそんなエロく下品な格好ではない

そんな歴史も
そんなキーセンもなかったことにしていく
こうした韓国の歴史の美化作戦は功を奏してはいるが、

そうしたい気持ちはわかるし
韓国のスタンスも勝手だけど

ただたんに映画に関して言えば
下品でもリアルに生々しくても正しく描き
今村みたいなアプローチ
もしくは新藤兼人のように
真実に向き合って人間というものを描き切る
そんな作品を作り上げてみてほしいとも思ふ

そしたらね
S&Sのランキングに名を連ねてもいいと思うよ、、、

2.5☺

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