たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/沈黙(ベルイマン)

女の本能の悶えを 大胆にえぐって 真っ向から性に挑んだ 名匠の問題作!

それでなくても
名匠はスウェデーンでしょ
この公開当時のスウェーデンといえば
エロ映画のイメージだよね

とうとう
エロ映画に進出したのか?って
勘違いしなくもないね

たしかに
女性の自慰行為を
ポルノ映画以外では
映画史上初めて描写した作品ではあるけど
そして日本では成人映画として公開されはしたけど
まったくやらしい気分にはならないから

エロを期待して
観てみようかなと思っている人にとっては
まったくの不発弾となる可能性が高いよ

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<鏡の中にある如く><冬の光>に続く
ベルイマン「神の沈黙・三部作」の一篇

神の話しになると
正直非常に難しいね

生と死について
肉体と精神について
そう伝えようとしているのは判るが
誰かに説明することができない

セリフを極限までそぎ落として
画だけでみせていく

これこそが
文学とも演劇とも違う
映画という表現方法を貫いた作風

しいていえば
この映画は音楽に近いかもしれない

自然光を活かした
ある時には柔らかく
あるショットではハイキーに
また逆行を活かした美しい印象的な画

冒頭の列車内のシーンがいいね
主人公の姉妹と妹の子供の3人
ひどい暑さのために目を閉じることさえできない様子だ
姉は具合が良くないようで
予定外だが途中の駅で下車して休むことにする
子供が覗く窓の外にはたくさんの戦車が走っている
どうやら社会主義国家のようだ
抑圧された空気
この画の見せる方がスゴイ
まるで「幻燈」のよう、、、

子供がホテルの廊下を彷徨うシーンもいい
シンメトリックの深い廊下の奥

店の暗い廊下の一角で
ほんの僅かな光に時より映る
まるで動物に様に絡み合う男女
(あ、ここはちょっとやらしい)

命を刻むような時計の男

少年に女性の舞台衣装を着せようとする
小人たち

夜の街を行く
家財道具を積んだロバ荷車
そして戦車、、、

4☺

物語
著述業の独身女性エステル(チューリン)は妹アンナ(リンドブロム)とその息子ヨハンと共に汽車で旅行中、身体の不調を訴え、見知らぬ町に降りる。そこはどこと特定されないが、夜中、ひっそり戦車が通りすぎることで東欧ないし中欧の共産圏と理解出来る。エステルは部屋で翻訳の作業にかかるが、虚しさを覚えウィスキーをラッパ飲みし、自慰に耽る。奔放な妹は夜の町に男を求め、自室に連れ込んで愛し合う姿を息子に目撃される。甥にそれを聞かされた姉は、妹の部屋に忠告に来るが、彼女は受け付けず更に行為に没頭する。その背景には、幼少時からの姉妹の反駁があった。優等生でみなのお気に入りの姉、豊かな肉体を持ち行動的な妹……。ショックに容態の悪化する姉に構わず妹は息子を連れ、先を急ぐ。一晩で人間の内側を覗いた甥の心中を察した姉は、彼のため、その国の言葉で“精神”と書いた紙片を手渡す。意味はいずれ自身で悟れ、と。薄気味悪いホテルの中で暗黒舞踏的に跳ね回る小人の一座が、カフカ的なこの映画を更に謎めかせている。(

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