映画<パターソン>には
印象的な食事もしくは食べ物の場面がいくつか登場する
奥さんが主人公パターソンの好物である
「芽キャベツとチーズ」が入ったパイを
自分でレシピを創作したので
しかたなく口に運ぶが
どうやら口に合わないらしく
グラスの水で飲み干す
再度パイを勧められ
更に注いだグラスの水を一気飲みする
でも
けっして「口に合わない」とは主人公は言わないね
人に気遣い、心優しい人だからね
パターソンの奥さんはとても感性で行動する女性のようだ
家中を感覚的にペイントしたり
急にギターを購入して歌を始めたりするような女性だ
ささやかな
幸せに暮らしているものの
たびたび「夢」という言葉を使う
それは少しの「成功」であり
「経済的」な利益を含んでいる「夢」でもある
たとえば、御自慢のカップケーキが
日曜市場で完売した先には自分の「お店」をもつ「夢」であり、
旦那の詩集を出版させて
いずれは印税を手にできるかもしれないという「夢」である、
また自分にはアートスティックな才能があり
いつかはそれが活かされるのではないかという「夢」もしたためている、
ギターを購入して先の先の将来には
ナッシュビルに呼ばれるという非現実的な「夢」も口する
とても楽観的で
しかしむしろ可愛く
少々の「欲」ではあるが
ガツガツしているわけでない
ささやかな暮らしの中の
ほんのささやかな「夢」
しかし男は
他人に自分の「詩」を披露する「夢」も
それによって成功する「欲」も持ってはいない
こうやって
「強引さ」と「優しさ」
「夢」と「無欲」
相反しながらも、ふたりは均衡がとれているんだね、、、
奥さんはフリーハンドで大きさの違うちょっと歪な円やルーズな線を描くデザインが好きだ、、、とうとうカップケーキにも、、、