たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/天はすべて許し給う

次男が今年はダグラスサークにはまっていて
その影響でボクも消極的に眺めることになるが
眺めているうちに入り込むね
ダグラスサークは間違いないね

悲しみは空の彼方に>と<風と共に散る>は以前紹介したが
ぜったいに観るべき作品だ
そして本作も、、、

All That Heaven Allows
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冒頭の俯瞰、そしてパンから映画に引き込まれる、田舎町を映す美しいファースト

物語は
中流階級の未亡人と若い庭師の男の恋愛物語、メロドラマだね、晩年の小津映画のような美しい色調と成瀬映画のような雰囲気、家族や周囲の反対や世間体に悩みながらも未亡人はどういう人生の選択をするのか、、、

ただそれだけのストーリー
だが
ただそれだけだから面白良い
単純明快、シンプル
それでいて思うところは深いいい

ダグラスサークはロックハドソンを使い続けた監督
小津が笠智衆山村聰とか佐田啓二を使うように
使いやすいのだと思う
身体は大きいが、クセがないから

個性の強い役者は色が付き過ぎていて
監督は使いづらく敬遠する傾向になる
例外は黒澤明岡本喜八か、、、

イメージ 2
いい監督って、必ずいい逆行を撮るよね

主人公の役名はロン
そして一方の主役オスカー女優の
ジェーンワイマンの夫はロナルドレーガン、ロンだね
ま、そんなことはどうでもよいが

衣装、撮影、照明、セット、オープンセット、音楽の使い方
すべてにおいて素晴らしい
腕のある本物の映画職人たちの仕事

室内の逆光のショットなど
ため息が出るほど美しい

印象的な大きな窓
内と外
女の望む家庭と男が眺めている景色(世界)の違いを表現する

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男性の世界観と女性の世界観の対比を、この大きな窓で表現しているんだね
そして女は男の景色に魅かれていく

「結婚なんか考えないで、テレビの前で過ごしなさいよ」と
子供たちがテレビをプレゼントする

まだまだ年寄りではないのに
「恋」などする年ではないと言われているようだ

友人、隣人、子供たちが未亡人を冷ややかに見る
若い肌に、逞しい肉体に惑わされた年増の女と、

そして、自分の意思ではなく
助言や状況に翻弄され戸惑う

自分らしく生きようとする人(男)と共に
自分らしく生きようとしてはいけないのか?

上流階級の社交の場と
カジュアルな気の合った仲間と、どちらが自分らしいのか?
この対比の描き方が上手

名作<不安と魂>や<エデンの彼方に>は
この作品の影響を強く受けているらしい

アラフォー、アラフィフ、アラカンと呼ばれ
世間体の中に生きながら
どこか息苦しく感じている女性たちこそ観るべき傑作だ

P.S.

しかし
DVDで観たのだが
せっかく美しい画なのに荒い
ポジからプリントしたのではないかと疑う
早くブルーレイが出ることを願うばかりだ、、、