前日
映画のアイデンティティについて書いた
何をもって「映画」と定義し
その他のものは「テレビ」「コンテンツ」「動画配信」と
多様化される映像鑑賞機会において「映画」の位置づけは、、、
今年のカンヌ映画祭の審査において論争が起きた
Netflix制作でまだ世界のどこでも映画館で上映されず
カンヌではじめて上映された「作品」を
「映画」と呼ぶのか?と、、、
その映画が<オクジャ>
Netflix制作のポンジュノ監督による
ファンタジー「作品」
その後韓国では劇場公開されたが
日本ではNetflixでのみ鑑賞可能の「動画配信作品」となっている
世界の何処であろうが
映画館でかかったことがある作品は
たとえ日本で劇場公開されなくても「映画」と言えると考えるが、
このまま日本で劇場公開されなければ
多くの人が観る機会を逸し埋もれることになる
それは非常に不幸で残念なことだ、、、
キムギドク、パクチャヌク、イチャンドン、ナホンジン・・・
韓国には素晴らしい監督が大勢いるが
その中でもポンジュノは特に好きだ
今回この<オクジャ>で彼の評価は不動のものとなった
ボクはポンジュノに黒澤明をみる
黒澤の監督予定だった<暴走機関車>は<スノーピアーサ>
<野良犬>は<殺人の追憶>にだぶる
そして黒澤がジブリ映画を実写化したとしたら
それは<オクジャ>になっていたのではないだろうか、、、
エコロジー、自然破壊、動物愛護、食肉問題
問題提議に絡めながら
<となりのトトロ>の有名なシーンとまったく同じ場面も登場する
そして監督本人も押井守の名前を出しているように
日本映画やアニメの影響を認めている
登場するキャラの動きやキャラクター設定も
日本のアニメ風だ
そして
<キングコング>のようでもある
様々な様相はあるものの
1カット1カット丁寧に画が作られている
一画入魂
必要ないときはまったくセリフを挟み込まず
またセットの細部まで黒澤組の美術班のように作り込んでいる
本当に映画が好きで
良く映画を知っている監督だなぁと思ふ
日本ではNetflix限定という接しづらい鑑賞状況だが
今すぐNetflixに登録して観るべきだ!
(ボクはNetflixの関係者ではない)
これを観たら好きになる人は
日本人には大勢いるはず、、、
P.S.
一歩間違うと
映画論争が無ければカンヌのパルムドールを受賞していた可能性がある
それほどのレベルの作品だ
P.S.
今や新しい映画鑑賞方法として注目を浴びるNetflixやHuluだが
未来展望はあまり明るくないそうだ
そもそも映画の版権を持たず権利を持つ映画会社から
借り受ける形で動画配信しているが
映画会社自身が先頭に立って動画配信を行う動きが加速している
そうなると当然NetflixやHuluへの貸し出しを止める方向となる
現にディズニーは他社への貸し出しを止めた
そうなると権利を持たない会社は厳しい
よって独自に制作し良質な作品を生み出す方向に向かうのは自然の流れだ
また監督たちも制作に口を挟まれず自由に質の高い作品を撮れることを歓迎している
その結果が<最後の追跡>であり<オクジャ>という作品に結実した