ボクのもっとも好きな
日本人の女優
デコちゃんこと
高峰秀子は
伯母が兄一家の口減らしのために
デコちゃんを養子にとった
そして4才の頃
蒲田の松竹撮影所の子役オーディションで優勝し
女優への一歩を踏むと同時に
義母にとっては
金の卵を産んだ瞬間だった
子役も当たれば金になる
金の卵
金のなる木
子供にとっては
どうでもいいことだが
親にとっては
一世一代の大博奕となることも
この映画
そんな
生活のかかった
家族の未来のかかった
大勝負
子役のオーディションの物語
ヴィスコンティの監督作でありながら
名前があがることの少ない
それでいて素晴らしい作品
<ベリッシマ>
ネオレアリズモ
そして
ヴィスコンティとしては
唯一のコメディ的要素のある
そして社会風刺のきいた
傑作
助監督は
ロミオとジュリエットなどの
この頃のイタリアは
ぞくぞくと
優秀な監督が世に出ようとしていた
♪
映画のほとんどが
主役の女(母であり妻であり)の
マシンガントークで埋め尽くされる
ちょっとヒステリックな声色で
男をイヤな思いにさせる
女の武器
超高速マシンガンセリフ連射
本編中
映画の野外上映で流れるのは
ハワードホークスの<赤い河>
川を渡る牛の群れ
「すごいねぇ」と
驚きの声を上げる主人公
ラストでは
主人公の女が
ベッドの上で野外上映の音を聞く
「ぁ、バートランカスターの声だわ、素敵な役者よね」と、
金のための
生活のため
未来のために
娘を利用しようとしただけでなく
銀幕は
彼女の憧れでもあったのだ