毎朝の食卓
父役・伊丹十三は
目玉焼きの黄身を直接吸うのが日課だ
ときに
ゆるくない黄身が吸えず
妻を叱る
「こんな硬くちゃ、チュウチュウできないじゃないか!」と
「チュウチュウ」
「硬くてチュウチュウできないじゃないか」
それまでの日本映画に挑戦した作品だ
今までの固定観念や映画の流儀を
若き才能・森田芳光が潰しに掛かった
劇中
松田優作が船の先端に立ち
家族を目指すが
古い日本映画に立ち向かう
森田監督自身を投影しているように見える
有名な食卓のシーンは
それまでのホームドラマの
茶の間のシーンを
茶化したものだが
核家族化に拍車がかかる新しい時代の
冷めた雰囲気も表現している
ま
この食卓の構図に関しては
ルイスブニュエルが
すでに<ビリディアナ>でやっているので
森田が
映画史上初めてとは言いにくい
が
そして「最後の晩餐」を茶化しているのに対して
森田は
日本のホームドラマを茶化すという
いたって異次元の
そしてスケールと目的が違う
この映画では
新しい感覚、新しいタッチ、斬新なアイデアが次々と出てくる
音の使い方
演技、間、タイミング、動き
カメポジ、アングル
照明
寄り、ロング、移動、1シーン1カット
若い人には何が新しいかサッパリ解らないことだろう
今の映画やドラマでは普通であることの多くが
この家族ゲームから始まったのだ
その後の多くの映画やテレビドラマに影響を与え
それは今では
普通になったのだ
パタパタパタパタパタパタパタパタ
昔
誰かが言ったのを覚えている
「<家族ゲーム>のラストのヘリの音は
そのまま
<地獄の黙示録>のファーストシーンに繋がるのだ」と、
面白いことをいうものだ