たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

「何者」、、、2

ムリ!と言われた
可能性を追求してみたかった
 
イメージ 1
 
映画とこの文章に関連性はありません
 
調べてみると
テレビコマーシャルを制作している会社
いわゆるCMプロダクションは
秋に就職試験が行われることを知った
 
ついている、まだ間にあう、、、
 
しかし
ビールのコマーシャルで
ペンギンのキャラクターで
松田聖子の歌が流れるCMを作っている会社には
1名の採用に3万人が殺到し応募した

試験会場は青学の講堂で
何回かに分けて実施された
ほとんどイベントのノリだった
いかにCM業界が注目されていた時代だったか、、、
 
2社目は
現在「au」のCMが当たっていて
今でもCM業界のトップにある会社では
5000人の応募があった
これからはワールドワイドだから
海外にたくさん拠点を持つ計画のようで
そのため英会話は必須であるとの説明があり
さらに高学歴が条件のようだ
ハードルが高い
 
この2社は
いずれも最終試験まで残れなかった
 
 
3社目の会社は
小規模ながらも
有名なCMをたくさん制作している会社で
500名ほどの応募があったようだが
 
最終試験の面接には5名が残り
そこに自分もいた
 
面接では
いくつかの質問のあとに、こう訊かれた
 
「好きなCMディレクターは?」
 
映画の監督ならいくらでも知っているが
『えっ、、、ふつう、CMのディレクターなんか知るか?』と、質問を恨んだが
 
しかし、パッ!と、ひらめいた
 
この会社は過去に
チャールズブロンソンを起用してマンダムのCMをヒットさせた会社だ
そして、そのCMディレクターこそ映画監督でもある大林宣彦ではないか!
ボクは呼吸を整えてゆっくりと答えた
 
「好きなCMディレクターは、大林宣彦さんです!」と、
 
ところが
面接官の4人の表情は曇った
ボクの予想を裏切り非常に暗かった
 
『ぇ、どしたの?、、、意外な反応、、、』と、ボクが戸惑っていると、
 
面接官の一人がニヤリとしながら云った
「オ・オ・バ・ヤ・シ?みんな知ってる?そんな人知ってる?」と、
周囲に同意を求めるようにそう云うと
みんなはシラケたような顔になった
 
ボクが
「でも、大林監督って、、、」と、口にすると
言葉は遮られ、面接は終了した チーン
 
 
あんなに人気のあったCMを一緒に作った会社と
そのディレクターである大林監督の間では
いったい何があったのだろう、、、
 
それにしても、この会社、感じ悪るぅ!
 
案の定
この会社の最終試験の結果は、、、不採用
 
 
最後に受けた会社は
20名ほどの小さな会社だったが
素晴らしいCMをたくさん撮っていて
300名ほどの応募から2名を採用するそうだ
 
ここも最終試験まで通っていて
最終試験では事前に
カセットテープのCMのコンテを描いてこいと
そして面接会場でプレゼンをしろとのミッションだった
 
ボクはA3の大きな白いペラ紙
4ツのフレームの線を引き
4コマ漫画のように絵と説明を加えて鉛筆で書いた
 
1)地球がくるくる回っている
2)キャメラがドリーバックしていくと地球の丸は
 テープのカセットの丸い穴の丸と重なり
3)宇宙空間でカセットからテープがヒラヒラ飛び出てくる
4)キャメラがテープに寄るとテープの上でデユランデユランが
 PleasePleaseTellMeNow~♪と演奏している
 
そのコンテを丸めて抱え
自信を持って面接会場に向った
面接会場には4名が先に来て坐っていた
 
彼等をよくよく観察すると
東京芸大や一流大学の人たちだった
プロが使用するボードに上手に綺麗な絵を描いている人や
凝ったカット割りでストーリーになっている人
いずれにしてもボクのように
ただの白紙に黒鉛筆一色で描いてきている人はいなかった
ついつい、丸めていたコンテを膝元に隠した、、、
 
そして、
ここまで来るまでみなぎっていた自信は、一瞬で消え去った、、、