たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/君の名は。

何か一つのことに秀でていると
そつなく何でもこなせる人よりも大成すると思ふ。

足が速いとか
肩が強いとか
スイングが早いとか
時として大谷みたいに規格外の選手も出てくるが、
多少ウィークポイントがあっても
他を圧倒するものを何か一つ持っていれば
それはかなり強い武器となる

なにも野球の話だけでない、
映画の世界でも大成する監督は
自分の世界、自分の強い意志、自分の武器を持っていると思ふ
 
新海誠監督は
過去に2本<言の葉の庭><秒速5センチメートル>を観ていたが
とにかく絵がキレイ、画がキレイ、
この点においては抜きんでている才能を感じた

でも
観客を感情移入させる演出力とか
脚本の上手さは感じられなかったので、
『いつか優れた脚本を手に入れれば開花するだろうなあ』と思っていた。

そして
君の名は。>を観た、、、

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最初に誤解の無いように言えば
率直に「面白かった」し「良かった」し「ヒットも納得」した。

抜きんでるモノを持つ者の開花が早くも訪れたと、、、

君の名は。>の驚異的な大ヒット大成功は
しかし正直「まだ早すぎる」と感じた
まだいい脚本を得ていない、、、
 
観客の喝采を受けているが
まだまだこれが到達点に感じられないのだ
 
正直に良かったし、面白かったし、感情に働きかけているけど
これだけの才能のある人の頂上とするにはまだまだ寂しい
その欠けているものは脚本力だ
 
この監督は何でも自分でやりたがるそうで
それも良いが
更に高い位置には行くには
誰か優れた脚本家の力を借りるべきだ
自分の弱い部分を補うために
知恵を借りるべきだ、意見に耳を傾けるべきだ

たとえば

3年前のタキに会いに来たミツハに対して
電車の中で「オマエ誰?」って言い方はしない
監督としては
どうしても「オマエは誰だ?」のワードを重ねて使いたかったのだろうが
言葉がリフレインする面白さを優先するあまり
こういうおかしなことをやってはいけない
ぜったいにダメなことなのだ
しかしそれを注意する人がこの人の周囲にはいないのだね
勿体ないね、、、

ラストに関していえば
 
村の復興のために村に残り
ミツハを含めた3人の親友の復興に取り組む姿を描くべきだし
(だって神社の娘なんだから残らなくっちゃ)
そこに建築家となったタキが村再建のボランティアとして現れ
そこでタキ&ミツハが再会するような
そんなエンディングにするべきではなかったかと思ふ
それが説得力のあるストーリーだ
 
もし東京で再会するのならそれでもいい
しかしすごく近くにいるのに(それこそ同じマンションくらい近い)
何度も何度も面白くも、じれったい、すれ違いで会えないエピソードを畳み掛けて
「こんなに近くにいるのに」感を思いきり出して
最後にさりげなく再会できるような演出ではないだろうかと思ふ

勝てば官軍なので、ヤボはこれ以上言わないが

いい脚本を手にしたとき
君の名は。>以上の成功を手にすると思ふ
それだけの才能を持った人だ

ただね
これで成功しちゃったからね
さらに他人の言葉に耳を貸さなくなる可能性もあるので
そこは本人が気づいてくれると良いのだが、、、

そうでないと
せっかくの名監督への道を閉ざして
ただのヒットメーカーで終わってしまうのだ、、、
 
PS
ぁ、それと、、、

この人は大林宣彦監督が好きなのかな?
この映画には「尾道三部作」を感じるね
もちろん<転校生>でもあるし
そして姉妹お婆ちゃんは<廃市>だね

尾道三部作」+廃市*新海誠の才能