青春の蹉跌
学生運動が収まり
「しらけ」の時代に十代を迎えた
映画好きの家庭教師に誘われて
学園祭の自主上映に行くと
関根恵子(現・高橋惠子)の<朝やけの詩>
まったく予備知識もなく観た
その映画の冒頭で
ツッカミはOK!的に
関根恵子の美しい裸体が
これでもかこれでもかと
映し出される中
中学生のボクは
上体をかがめつつ
内心
鼻血が垂れる心配をしていた
♪
この当時は
売れっ子の若い女優の脱ぎっぷりが良かった
売れてないわけでもないのに
堂々と濡れ場を演じた
今で言えば
綾瀬はるなや石原さとみやガッキー級が
次々と銀幕の中で脱いでいたのだ
そんな脱ぎっぷりの良さで
ボクが十代で見た邦画の中で
一番のお気に入りの映画
<青春の蹉跌>の中でも
彼女は恥じらうこと無く
ショーケン相手に濡れ場を演じた
そもそも石川達三の原作が好きだった
その素晴らしい原作に負けない出来の作品を
神代辰巳が監督し
脚本は長谷川和彦
撮影は姫田真佐久
そして
並の映画な訳がない
当時から評判の作品だが
時が経つにつれ
その作品名を口にする人も無く
タイトルを目にすることも無くなった
まさに埋もれがちな作品になってしまったのは残念だ
♪
ちなみに
当時
近所に桃井かおりが住んでいて
ときどきショーケンの姿を見かけたなどと言う
町内の連中の噂話を耳にした
関根恵子も
近所に住んでいて
ある日学校帰り歩道橋を下りていると
前方から花束を抱えた関根恵子が階段を上ってきて
中学生のボクと目が合うと
ニコリと笑ってくれた
「朝やけの詩の関根恵子が目の前に、、、」
その時はじめてオーラーをみた
銀幕でみるあの美しい姿よりも
輝いていた
キラッ