木下恵介の傑作
野菊の如き君なりき
原作
名作<野菊の墓>の映画化
原作はまったくの短い話
ストーリーも単純で
松田聖子でも有名になった
「民さんは、野菊のような人だ、ボクは野菊が好きだ」のセリフも
こちらでも登場するのだが
(というか、こっちが先だが)
こちらの方が
セリフの出し方が絶妙
口説き文句のような言い回しではないのだ
そしてそして何より
杉村春子は
いつも通り上手過ぎるのだ
が
今回は
その杉村春子を超える存在感を示したのが
いつもは存在感をあえて出さない
浦辺粂子だ
いつもはいるだけの人なのに
この作品ではイイ演技をしているのだ!
最初は
木下惠介らしくいつものように
たんたんと風景描写と主人公たちを映しだし
人によっては退屈と感じるこの時間が
これまたいつものように
あとあと効いてくる
昔の日本
昔の田舎の村社会
封建主義社会
嫉妬や偏見
大人たちの考えとは違う
何も罪のない純真な少女と少年の感情は
封じ込まれ踏みにじられ
気づいた時には命さえ失う
そうなって初めて
大人たちは後悔し反省する
そして
初めて
正夫は感情を露わにする、、、
民子の祖母役の
浦辺粂子は言いました
「私は60になるけど、生きてきて一番嬉しかったのは、旦那さんと結婚できたこと、それ以外のすべては、あってもなくても、どうなっていようとよかった
それにくらべたら、他のことなんか、どうでもいいことだった」
皆が皆でよってたかって
女の方が年上だという理由だけで
17才の民子と15才正夫を引き離し
民子を他の男と結婚させてしまった
そのときに
怒りも込めて言う浦辺粂子の言葉だ
泣きます泣かされます
素晴らしい作品
好きな者同士
一緒にさせてやればいいものを、、、