The Stranger
オーソンウェルズの大傑作
彼の生涯撮った11本の作品のうちでも
あまり語られることがない
まさに埋もれがちな傑作だ
彼は
影(=陰)を撮るために
モノクロにこだわってきたのか?と、
感じるほど
いつも影にこだわりがある
ドイツ表現派でもなく
第三の男でもない陰、影の映画
逆光の画が良い
市民ケーンの時もそうだったが
中心人物だけに照明を当てないなど
普通は写そうとするものを
あえて映さず陰で処理する
狙いが的確だ
いつものように
寄りの画がいい
画が詰まっている
ルーズなカットがまったくない
ゆるい画が多い昨今だが
この頃の巨匠たちは
やはりしっかりとした画作りをしている
壁に映った陰を移動で追うと
ふと、その人物が現れるショットなど
目を引く鋭いカットの連続だ
オーソンウェルズを見るたび
製作費が調達できず
挫折し
処女作の制作に漕ぎつけなかった
地獄の黙示録(闇の奥)を撮っていればと
残念でならない
やはり
才能のある人はスゴいね
ただし
当のウェルズ本人は
本作を「駄作だ」と語っている