たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想 &〈ドライブマイカー〉オスカーへの道/ドライブマイカー(三回目)

 

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2021年8月20日に公開された<ドライブマイカー>その初日に次男と観に行った、、、鑑賞後震えるほど興奮していたのを隠せず家に帰って妻に「すごい映画観たよ、今すぐにでも又観に行きたい!」と妻を誘った、、、素晴らしく優れた作品が日本映画の歴史に生まれたと興奮したのだ、、、海外からは「やっと日本に天才が現れた」との声もあった、濱口竜介監督のことだ、、、その「やっと」の意味は1950年代に世界中で認められた日本映画黄金期のクロサワ、オズ、ミゾグチ以来だという意味を指すのだろう、実に70年ぶりに日本映画界に天才が現れたというわけだ、、、

 

今の世界でこんなに素晴らしい脚本を書けるのは濱口しかいない、、、村上春樹の別タイトルの短編を画で見せず主人公と妻と妻の愛人の三人の言葉で描いてしまう離れ業には驚く、とても映画的でないことを映画として成立させた、そのセリフは観客の脳内で確実に具現化されたはずだ、、、また多言語劇に手話を取り入れたことも作品に厚みを増して成功した、ラストの舞台上での韓国人女優による手話の演技に心が震える、、、

 

広島から北海道への旅は「過去」への旅だった、、、広島からは四国でも九州でも橋を渡れば行けてしまうが、北海道へは一旦道を断たれる、、、同じようにラストで彼女が韓国にいるのは「未来」への旅だ、もちろん韓国へもサーブを走らせドライブして行ける道はない、、、言語や時間時代や距離国境、異文化異空間は意味をなさないこと、それが本来人類が目指す普通のことなのではないか、何かが障害にならない世の中、、、だからラストで彼女が韓国にいることはこの映画の中では違和感がないことなのだ、、、(アクロスユニバースみたいなことも考えた、ドライブマイカーもビートルズの曲だし、だけどその言葉を使うのは止めとく)

 

「自分の言葉が伝わらないのは私には普通のことだ、見ることも聴くこともできる、もっと言葉より理解できるのです」(手話で)

「自然に愛しながら裏切った、深くつながっていた、覗きこめないドス黒い渦」

「テキストに載せる、自分を差し出し聴き取る」

 

いつもの西島かも知れないが「うまい」でなく「いい」

もちろん韓国、台湾などアジアの俳優たちは素晴らしいい

雪の中の長い説明調のセリフは今回観ても唯一の欠点と思えるのだが、雪のシーン全般は画としてはいい

音の付け方がいいと思ったら、突然無音になる走行シーンにゾッとした

逆光の青い画にゾッとした

清掃工場のオレンヂに「ゾッとした

トンネルのオレンジも、

 

公開の初日に観て以来、世界の映画賞を次々受賞していったのには正直驚いた、そして「オスカーへの道」として応援のようなことを自己満足的に続けてきたが、賞を受賞しなくても2021年に世界中で公開された映画の中で恐らく一番優れた映画であることは分っている、それを世界中の人たちも気づいてくれたことにもまた驚いた、まさにこの映画の中心にあるものに世界中の人たちが共感してくれたのだ、そしてアカデミー賞がドライブの終点となるのなら、最後に見える美しい景色を見せて欲しいと願うのだ、、、

 

4.5☺

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