東京フィルメックスのオープニング作品となった濱口監督のベルリン国際映画祭銀熊賞(審査委員グランプリ)作品<偶然と想像>を観に行った、、、ほんとうは東京国際映画祭のオープニング作品、イーストウッドの<クライマッチョ>とどっちを観るか迷ったが、<偶然と想像>を選んだ、、、東京フィルメックスのオープンニングで濱口監督のトークショーもあり、コアな映画ファンに大人気の濱口監督だけあって会場は超満員、、、
最初に言っちゃうと、もうね、日本映画の中では頭ひとつもふたつも「抜けている」他の追随を許さないのが濱口竜介、、、今年のキネ旬の上位は<ドライブマイカー>と<偶然と想像>のワンツーで決まったと思う、、、
濱口監督作品には2つの作風がある<パッション>や今回の<偶然や想像>のようにセリフの応酬によるシニカルな笑いを誘うものと、<ハッピーアワー>や<ドライブマイカー>のような冷静に人間をみつめ描写するもの、どちらにしても人間の本質に迫ろうとするのが濱口だ、、、
たんたんと、ヘタすれば眠りに入りかねないリズムの濱口作品は不思議と集中してスクリーンに釘付けになる、これを「濱口マジック」と名付けたい、、、今年のナンバー1映画<ドライブマイカー>にしても、ここ数年の邦画の上位といえる<ハッピーアワー>にしても、ほんと不思議に引き込まれるのだ、、、濱口作品には不思議な魅力がある、というよりも、力がある
濱口監督は入念なリハーサルで有名、まるで舞台稽古のようにリハに時間をかける、そして平坦な台詞廻し、長回しの多用、カット割り、手法が小津に似ているが、、、一般的にはロメールやロメールに似ていると言われるホンサンスの部類なのだろう、、、
本編は3ツの短編からなる、ロメールの制作リズムと同じように長編と長編の制作の間に機動的に短編を制作するのだという、、、
1篇目「魔法」親友の恋バナを聞いているうちに、その相手の男が自分の元カレだと気づいた女の行動と、想像の話し
2篇目「扉を開けたままで」大学に通う主婦は大学生のセフレがいる、大学の教授が芥川賞を受賞したことで教授の部屋を訪れる
3篇目「もう一度」高校の同窓会のために久しぶりに故郷に戻った女性とエスカレーターですれ違った同級生のある午後
あらすじを目にしただけでは、まったく興味が沸かないかもしれないが、クスクスと笑って、『面白い映画を観たな』ときっと思わせることのできる優れた作品だ、絶対観るべき一本!
P.S.
「映画.com」で読者採点「2.9点」って、
そんな点付けた人たち、ちょっとどうかしてる、、、