観ていない人たちには、この2作品はこの順番で続けてセットで観るよう奨めている、、、実際はこの2作品の間に<お早う><浮草>の2本を小津は撮っているが、この2本は絶対に続けて観るべきなのだ、そうすると尚更面白さが倍増するようになっている、、、
<彼岸花>は米国映画でいえば<招かれざる客>だ、他人の娘に対する行動と自分の娘に対する行動、言動の不一致と矛盾、、、、<秋日和>は父親を母親に置き換えた<晩春>だ、母を置いて結婚できないと言う親離れ出来ない娘の話し、、、どちらの作品も、娘の結婚を描き、行かせたくない親、行ってほしい親を描いた、だからこの2作品は「裏と表」ともいえるのだ、、、
いつものことだが、小津作品に登場する東京の人の設定の演者たちは感情の起伏を抑えた不自然で冷たい印象のフラットなセリフ廻しを要求される、、、一方、関西人の設定の演者には自由にテンポよくセリフを言わせている、関西人にはメリハリとテンポの役割で作品にリズムを与えているのだ、、、
そういえば、京都の言葉は変わらないのに、東京の「山の手言葉」は聴かれなくなって久しい、昔の映画の中で「山の手言葉」を聞くたびに残念に思う、、、
<彼岸花>の挙式シーンの省略には驚く、清々しいほどの省略だ、、、これは優れた監督のみの大胆な技、、、
<秋日和>の屋上からのシーンから見える東京駅周辺の風景、今で言うJPタワーは郵便局の本庁で、今の国際フォーラムは以前は東京都庁だったわけだ、、、
両作品ともアグファの美しい色調、、、
<彼岸花>では山本富士子、<秋日和>では岡田茉莉子が良い役をもらっている、、、