たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/ドライブマイカー

 

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「いい映画だなぁ」って思う感覚は人それぞれだが、ボクの場合はこの映画がそれだ、、、鑑賞後数日経つが、その想いは消えない、、、

 

今年のカンヌ映画祭で真のパルムドールではないかという声も囁かれていたのが、脚本賞の受賞をはじめ国際映画批評家連盟賞、AFCAE、エキュメニカル審査員賞の4冠という偉業を達成した濱口竜介監督の<ドライブマイカー>だ、、、実際、パルムドールを受賞した女性監督も、そのへんを少し気にしている節があり「この賞は私が女性だから得られたのではないことを願う」とのコメントを出している、、、もはや、女性ゆえにアドバンテージが与えられるようでは逆差別であり、その作品を観なくても噂は本当ではなかったのかと信じたくなるほど<ドライブマイカー>の出来は素晴らしかった、、、、

 

そもそもスポーツのような身体的な差が意味をなさない芸術や文学は男女の差がなくその能力や才能を発揮できるものではないだろうか、、、今まで女性がそこで働く場が限られていたことを問われるのなら兎も角、実際は男女に関係なく優れた作品であれば評価されてきたはずで、女性だからという理由で作品を低く評価されるような差別がされていたとは到底考えられない(行き過ぎたポリコレどもよ、去れ!)、、、むしろ、女性監督だからということにフォーカスされるのではなく、正当に評価しなくてはならない、、、

 

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ベリーベリーショートなあらすじ

主人公は舞台の演出家兼俳優だ、妻との関係は良好だが、妻が夫以外の男たちと性的な関係を持っていることを知っていながら、そのことには触れないで生活してきた、、、妻から「話がある」と言われた夜、遅く帰宅すると妻は倒れていて、そのまま還らぬ人となった、、、二年後、主人公は愛車と共に広島へ向かった、広島で多国籍の役者を集めた芝居の演出をするためだ、そのオーディションの場に、妻の最後の愛人であった若手俳優がいた、、、広島にいる間は主催者の手配した運転手が彼の車を運転をした、車という狭く限られた密室で主人公と運転手の女性は互いの心の奥底までを知ることになる、、、

 

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北海道の雪道をノーマルタイヤで走る?広島から北海道に向かうのに高速道路だけで行けるはずなのに(フェリーは除く)何故か下道を走ったり、畑の脇道走ったり、時間もないのに余裕こいてるのは何故?ツッコミどころは、こんなところだけ、あとは文句の付けどころがない、、、

 

昔読んだ原作はとても3時間の作品になるものではなく、どうやら同じ村上春樹短編集「女のいない男たち」の二編からモチーフが反映されているようだ、、、長い映画なのに、何度も何度も観れそうな気がする、何度も観たい、観ることになるだろう、、、

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期待していなかった、というか、作品をぶち壊すのではないかと多少の不安さえあった岡田将生が素晴らしい演技を披露している、、、岡田のどこか軽さとズル賢しこそうな人相と共にワルも感じる雰囲気(あくまでもボクの印象)が、この役柄にとても相応しくナイスなキャスティングで、とくにオーディションのシーンでの岡田の演技はぞっとするほどの名演だった、、、

 

韓国の俳優が三名ほど出演しているが皆とても巧く、とくに手話で演じる彼女(パクユリム)がとても素晴らしく、この作品に最も必要な存在であった、、、

 

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多言語劇っていうのは、もともとあるのかね?演劇に詳しくないので知らないけど、、、言葉で通じ合わない者同士が、さも通じているように舞台の上では演じるのが面白く、それは主人公が奥さんとの生活の上でも日々本心を伝えず演じていたことに重ね合わせている、、、誰にも話さないこと、心の声を、自然とドライバーには伝わり、言葉にすること、口にすることの大切さに気付いていゆく、、、、生き残った者だけが感じる罪悪感の共有、、、

 

多言語劇「ゴドーを待ちながら」「ワーニャ伯父さん」、妻の創作する話、現実の物語、、、

 

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東京(過去)~広島(現在)~北海道(未来への扉)~韓国(未来)、、、広島では国際会議場、環境局中工場、呉市御手洗などロケーションが良い、、、オーディション、公園でのリハーサル、劇中劇の幕際、、、数々の胸に来るエピソード、、、

 

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ボクのような単細胞はとかく感情で行動しがちだが、この映画の主人公のように感情よりも理性が勝り過ぎてしまうというのも、生きづらいと思うわけです、、、

 

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この映画の主人公といってもいい「車」のナンバーが「3982」、、、「サンキューハニー」と読ませたいのではないかと深読みしたい、、、

 

4.5☺

 

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