先日発表のあったオスカーでは
作品、主演男優、助演男優、脚本賞といった主要部門を加えて6部門で候補となり
映画の筋立てを面白く構成する役割を持つ
映画の出来を左右する大きな要素だ
それなので、編集賞を受賞したこの映画は観ておかなければいけないと思った
配信ではNETFLIXの独壇場の様相であるが
この映画はAmazonStudio
同じようにオスカーに新風を送っている、、、
ヘビメタバンドのドラマーがある日突然に耳が聴こえなくなる、完全に元とおりに治すことはできないが、インプラントである程度の聴力を取り戻すことができると医者から聞いた、しかし、その手術には高額の費用がかかり、それにしても暫くの間は耳を休める必要がある、、、大きなキャンピングカーでバンドのボーカルの恋人と車上生活をしていたが、彼女の勧めで聴覚障がい者が集う施設で生活することになる、、、最初は抵抗があった静かな生活にもなれ、施設の人気者にもなった主人公だったが、聴力を取り戻し、再び恋人とヘビメタバンドを組んで車上生活で全国を回る暮らしに戻りたいと思っている、、、そして、手術をする決心をし、キャンピングカーなど全財産を処分して金を捻出する、、、手術は成功したが、高い音にノイズが入り本人の想像した結果ではなかった、、、それでも器具を付けた耳はほぼほぼ聴力を回復した(正確には聴力が蘇ったように脳に錯覚を与えるらしい)ので、主人公は恋人に会いに家を訪ねる、、、ヘビメタバンドのボーカリストの女の暮らす実家は豪邸で、父親はビジネスの成功者であった、女性も以前の風貌を改めてヘビメタの生活に戻りたいとは望んでいない、そのことを悟った男は女の家を静かに去っていく、、、街に出た男は騒音に感じる音を放棄するように、耳にかけた器具を外し、あらためて街を眺めてみると、音のある街とは違った静かさを感じ、しばしその光景に浸るのだった、、、
サブタイトルが「聞こえるということ」だけど
「聞こえないということ」を描いている
そっちの副題に入れ替えることも可能だ
この映画を観ると
聴こえるということの素晴らしさの一方で
世の中は「ノイジー」でもある
聴こえないということは不安でもあるが
その見返りとして「静寂」を手に入れることができる、、、
施設に集う人々は
聴力を取り戻そうとはしていない
それが当然の世界であり生活なのだ
強引に例えれば
サイレント映画とトーキーのような関係
そりゃ、映画に素敵な音楽と洒落たセリフがあるのは素晴らしいことだが
画をつなぐだけで観客に伝え
心を揺さぶり、笑わせ、泣かせることも出来る
聴こえないけどサイレントは
伝えることにおいて何も劣っていない、、、
主人公はラストで
街の喧騒から解放され
音のない街の風景から心に静寂を得る
オスカーノミネーツとなった各部門に
納得できる上出来な作品だった、、、
3.5☺