岩手県の大槌という町には
実際にこの映画で登場する「風の電話」があるそうだ
それを題材に3.11で家族を失い
いま広島で叔母と暮らす少女が
ヒッチハイクで北へと向かう物語
ロードムービーというと
家から新しい未来へ旅立つものが主だけど、
この映画は家に戻ろうとするロードムービー
<オズの魔法使>を連想する
良い人たちに導かれ、彼女は家へと帰る
過去へのロードムービー
家へのロードムービー
「失う」ということ
死ぬということ
家族を失うということ
喪失感と絶望
「生きる」ということ
亡くなった家族を思い出すために生きなくてはいけない
失っても忘れてはならないこと
それは誰か生きることで記憶される
そのために生きなければならない
できれば有名どころの俳優でない演者を揃えてほしかったが
それでも主人公のモトーラ世理奈は他に代えがたい素晴らしい仕事をしている
(10代の頃の姿は知らないが)まるで10代の頃の北村谷栄のようだ
本物がそこにいるような佇まいを感じさせる
ほかに代えがたい雰囲気をまとっている
この演技が昨年の各賞で
あまり目立って名前が挙がらなかったことは良くないことだ、、、
カットを割らずに
各エピソードの多くをワンシーンワンカットで撮っている
ワンカットの力強さ、説得力
しかも無駄に動き回らないFIXの画には
落ち着いて引き込まれてゆく、、、
ひとつだけ納得いかないのはラストだ
電話ボックス内の主人公の少女をワンカットで撮る長台詞
正直、喋らせ過ぎ
今まで2時間かけて観てきたことを
言葉で反復してしまっている
これはボクの基準の「良い映画」の手法には当てはまらない、、、
その後
実際の「風の電話に」ついて調べて知ったのは
やはりここでは心の中で話す場所らしい
「風の電話は心で話します、静かに目を閉じ耳を澄ましてください、風の音がまたは浪の音が聞こえたら、貴方の想いを伝えてください」
クライマックスだからね
監督も恐らく迷ったところだと思うが、やってしまったな
ま、
だからといって、この映画の素晴らしさは否定できない、、、
4☺