「(ヒッチ自身)最後の無声映画という以外には取り柄のない作品」
これ、ヒッチが自身の作品に対して下した評価
その映画<マンクスマン>を鑑賞した、、、
物語は
漁師のピート・キリアムと幼馴染の弁護士フィリップは、”マン島の妖精”と言われるケイトに恋していた。フィリップはそれを隠していたのだが、ピートは、その気持ちをケイトの父シーザーに伝えようとする。 無一文の漁師であるピートはシーザーに侮辱されたため憤慨し、海外で働き大金を稼いで戻ると言い放つ。ピートに気持ちを伝えられたケイトは、安易な考えで、帰国後の結婚を約束してしまう。そしてピートは、ケイトをフィリップに任せてアフリカへと旅立つ。
その後、フィリップとケイトは親交を深めるのだが、ピートが死亡したという知らせが届く。 既にフィリップに恋していたケイトは、自由になれたと喜ぶのだが、固い友情で結ばれていたピートをフィリップは裏切るわけにはいかない。そんなフィリップとケイトは愛し合うようになるのだが、何んと、生きていたピートが帰国するという連絡が入る・・・。(TMTより転載)
漱石の「こころ」に通じるところがある、、、
たしかに
ヒッチらしい独創的なキャメラ技法、演出手法
新しい挑戦やアイデアはない
そんな訳だから
ヒッチらしくないという人達も多いが、
ストーリーは「らしく」なくても
人間の心理的な葛藤
その先にある心理的な怖さは
いかにもヒッチらしいと思うし
ヒッチはこういうメロドラマ風も撮れるんだねと感心した、、、
窓
主人公の男二人が女の家を訪ね
窓の下から声をかける
女が窓を開けると
肩車された男が女のいる2階の窓際に顔を出す
とか
仕事から戻った男が窓から自宅の中を覗くと
女房と一緒の男の背中が見える
とか
信用を完全に失った男と女に
窓越しから向ける村人たちの軽蔑の鋭い眼差し
とか
窓が印象的に上手く使われているのは
やはりヒッチらしい
ヒッチ本人が否定しても
いつものヒッチを期待したファンを裏切ることになっても
間違いなく、よくできた傑作だ、、、