妻は時々いいことを言う
「不親切な人」「自分本位な人」を指して
「徳を積まなきゃ、あの人の人生はダメだね」と、
他人に親切に出来ない人
自分のダメさを社会や他人や他のせいにする人
そんな人は幸福になれないと言いたいのだね
たとえ金持ちでもね、幸福になれるとは限らない
逆にあまり金銭的に裕福でなくても、幸福を感じる人はたくさんいる
幸福や不幸って
成功や金だけではない
質素に暮らしていても愛情に包まれた生き方をしているか、
大人でも年寄りでも気づかない人はいるし
とくに若者の多くがまだそれに気づていない
でも、一瞬、自分の生活の中に愛を感じた時
光が差したような、温かさを感じたような
すこし先が明るく見えた気がするものだ、、、
だからね
「徳」を積みなさいと、妻は言う、
「はい、わかりました!」ボクは素直に返事する、、、
この映画の若い主人公たちにはまったく「徳」がない
他の何かのため、他の誰かのために、何かをしようとしない
常に誰かのせいであり、他を恨んでいる
今の自分は今の自分のせいだという事を認めない、、、
日本では
極一部の映画マニアにしか浸透していない
台湾の鬼才であり巨匠ツァイミンリャンの
長編デビュー作にして傑作、、、
夜の台北。公衆電話から硬貨を盗んでいるアツー(陳昭榮)とアピン(任長彬)。一方、予備校生シャオカン(李康生)は予備校の学費の払い戻しを申し立てるが断られる。エレベーターですれ違ったアツーと、彼の兄と昨晩寝ていたアクイ(王渝文)は、バイクに乗って出て行く。シャオカンの母親は占いで、自分の息子・シャオカンが 伝説の英雄“ナジャ”の生まれ変わりなのだ、と父親に告げ、反発を買う。ナジャの真似をするシャオカン。父親はシャオカンをしかり、母親はおびえる。その夜、アクイとアツー、アピンは遊びに出かける。三人はラブホテルへ入るが、そこでアクイは酔って眠ってしまい、アツーとアピンは彼女を置いて出て行く。次の夜、アツーとアピンはゲーム・センターのゲームの基盤を盗む。それを見ていたシャオカンはゲーム・センターに閉じ込められ、一夜をそこで過ごす羽目に。その次の晩、アツーとアクイは再びラブホテルへ。シャオカンは授業料を払い戻すことに成功し、その前のホテルに部屋を取って、アツーのバイクを壊す。シャオカンの父親は翌日、授業料が払い戻されたことを知って、母親と言い争う。アツーとアピンは盗んだ基盤をゲームセンターに売ろうとするが、自分たちの犯行がばれ、抵抗の末、アピンは重症を負う。そこへシャオカンの父親の車が通り、二人を運んで行く。アツーに呼ばれたアクイは泣き始め、ここを出て行こうと言う。テレクラに行くシャオカン。だが、何もしないまま出ていき、夜の台北にさまよい出て行くのだった。(映画.comより)
行き詰まっている青年を描いた青春映画は沢山あるけど
このツァイミンリャンの描く
1990年代初頭の好景気に沸く台湾の
時代に乗りきれない青年たちの淀んだ青春と
一瞬見えたほんの微かな光に胸を打つ、、、
ツァイミンリャンは7本しか観ていないが
かならず「水」を連想させる
ある映画ではビルの屋上の貯水槽
毎回のトイレやシャワーの描写
激しく降りつける雨
そして、この映画では
床一面にあふれる配管が詰まって溢れた水
この詰まって溢れた水が
主人公の行き詰った生活や精神状態を表しているのだね、、、
デビューとは思えない手慣れた仕事ぶりに
リアルタイムで観ていた人たちは
ツァイミンリャンの将来が
かなり明るい光を差しているように感じたことだろう、、、