物語
妻と離別し家も仕事も失った喜八と小学生の二人の息子・善公と正公は、親子で毎日工場の職を求めて工業地帯をさまよい、宿の客同士の共同部屋で知り合いになった喜八と同じ境遇の女性「おたか」とその幼い娘の君子に出会う。ある夜、喜八は飯屋をやっている昔なじみの未婚の女性「おつね」と偶然に出会い、親切な彼女は借家と工場の仕事を見つけてきてくれた。おたか親子と親密な時間を過ごした後で、君子が大きな病気にかかってしまうと親子ともども黙って消えてしまう。喜八は腹が立ち料理屋でヤケ酒をあおっていると、何と、おたかが酌婦として酒を持ってきた。喜八は彼女を叱るが、おたかは涙ながらに娘の入院費用で仕方なかったと弁解する。親子を何とかしようと、喜八は一大決心をする。深夜、喜八は息子に盗んだお金を、おたかのいる病院に送り届けさせると、おつねに息子の世話を頼み、警察へと向かうのだった。
小津作品の中でも上位な作品と思う
小津の人情もの「喜八もの」なので
<浮草物語>は兎も角
<出来ごころ>→<東京の宿>の順で続けてみると良い
続きものではないが、続けてみるべき
ロッセリーニよりもずっと以前
<自転車泥棒>よりも十数年早く世に出ながら
世界で認められたのは後年
「日本のネオレアリズモ」と呼ばれた作品
貧しさは愚かさも伴うことがある
何も食べていないのに
全財産で「帽子」を買ってしまう感覚
空腹なのに酒を求める感覚
語りが巧い
最後の銭
食or宿となったとき
食を選んで飯を頬張る最中
食堂の外で雨が降り出す
「宿にしておけば良かった」と後悔
金なし、職なし、宿無し、食事なし、希望無し、、、、
それでも幸運にも金が入り出すと
使ってしまう
呑んでしまう
メモ
花火は
<出来ごころ>で使われた画の使いまわしだろう、、、
「喜八もの」には寅さんの原型を感じる、、、
ノワール的なシャープでクールな作品や
喜劇をたくさん撮りながら
こんなにも哀しい物語も描く小津、、、