たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

ボクの好きなショット/父ありき

 

ボクは今年

ボクの父親が死んだ年齢になった

 

豪快な父親で

背筋が凍るほどの武勇伝の数々を持ち

周囲から勝新太郎のようなキャラとも

ヤクザだったら組を持っていただろうとか言われていた、、、

 

本人は

傍ら保護司をやりたかったらしいが

諸所事情につき(W)

そのような任には就けずにいたが、

それでなくても

父を頼ってくる人が後を絶たなかった

 

たいがいは

不良少年を抱える親が

息子を非行から立ち直らせたいとの願いを抱え

口コミで知って父を訪ねてくるのだ

非公認保護司、、、

 

深夜に新宿アルタ前に待ち伏せして

暴走族がやって来ると

父親が路上に仁王立ちして待ち構え

あっというまに全員ぶっ倒し

連中をアルタ前にマグロを並べるように転がし

お目当てのガキだけ連れてオヤジは帰ってくる、、、

 


その当時

オヤジの会社には寮があり

知らぬ間に大勢の

関東から静岡あたりまでの暴走族の連中が

オヤジの会社に(強引に)引きとられてくる

 

彼らは時々本職とは別のお勤めのためいなくなり(W)

しばらくして少年院から出てくると

少年院で知り合った不良を連れて帰ってくるので

寮の人員は増える一方だったが


オヤジは

少年たちから「社長」ではなく「オヤジ」と呼ばれていた

 

うちのオヤジのことは

気が向いたらまた別の機会に書くとして、、、

 

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小津安二郎中期序盤の名作<父ありき>

 

この小津の<父ありき>には泣かされる

早くして母親を病気で亡くした子供

教師の父親と二人暮らしだつたが


父親は

修学旅行の引率の時に生徒を水難事故で失ったことで教師を辞め

別の土地へと親子で移ることを計画する

 

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最初にその土地を訪ねたときに

寄った食堂の二人が寂しげだ

セリフはないが

父親と子供の不安を数カットで表現する

 

その後

父親がその土地を移ることを子供に告げるときの子供の寂しさ

しかし、父親と二人とならばという思い

 

しかし暫くすると

こんどは父親が東京で働くという

子供の教育費を稼ぐためにだ

そのため息子は施設に預けられる、、、

 

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子供は無事大学を出て

東北の地で教職に就いてた

 

25歳になった息子が

久し振りに父親と東北の温泉で再会する

 

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昔、父と子はよく川に釣りに出掛けた

そして、大人になって久しぶりに再会した二人も

やはり川に出掛け

無言で竿を垂らす

ここらへんも含め語りが巧い、、、

 

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その後

父親と過ごす僅かな日々の後、父親は死んだ

 

ずっと一人ぼっちで大人になった息子の寂しさを

重要なところ、展開するところでは

セリフに頼らず

説得力ある画の強さで表現していく

 

25歳の立派な大人だが

可哀想な小さな子供に対する気持ちと

まったく同じような気持ちに観客をさせる、、、

 

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