たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/劇場

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これもコロナ余波に泣いた作品の一本

新型コロナウィルスの影響で当初4月の公開が延期となり、公開時期も未定となったが、配給が松竹から吉本興業となり、新たな公開日が7月17日に決定した。同日に、Amazonプライムビデオでも配信が開始された。なお実写邦画が劇場公開と同時に全世界独占配信されるのは初の試みである。公開前の前評判は極めて高く、「今年を代表する一本」になるだろうとの評価を得ている。(Wikiより加筆編集)

 

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たまたま数週間前にこの作品のスタッフの方とお会いして

この映画の話になり

「映画の中心となる下北沢のアパートは、観客が見れば実際のアパートで撮られたロケと思うだろうけど、実はスタジオに組んだセットで、そんな違和感をまったく感じさせないほどの出来になっている」と、自画自賛していた

よほどの自信があるようだ、、、

 

撮影、照明、美術、小道具、操演、録音、

全てのスタッフの力が結集された結晶を意識して観ることにした、、、

 

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ほんとうは映画館で観るべきだったが

とりあえずAmazonプライムビデオの無料動画配信で

いち早く観ることにした

 

ちなみに

劇場版と動画配信版では

ラストのクレジットのあたりで違いがあるとの情報もあるが、確認できていない、、、

 

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解説とあらすじ

「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹の2作目となる同名小説を、主演・山崎賢人、ヒロイン・松岡茉優行定勲監督のメガホンで映画化。中学からの友人と立ち上げた劇団で脚本家兼演出家を担う永田。しかし、永田の作り上げる前衛的な作風は酷評され、客足も伸びず、ついに劇団員たちも永田を見放し、劇団は解散状態となってしまう。厳しい現実と理想とする演劇のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独と戦っていた。そんなある日、永田は自分と同じスニーカーを履いている沙希を見かけ、彼女に声をかける。沙希は女優になる夢を抱いて上京し、服飾の大学に通っている学生だった。こうして2人の恋ははじまり、お金のない永田が沙希の部屋に転がり込む形で2人の生活がスタートする。沙希は自分の夢を重ねるかのように永田を応援し、永田も自分を理解し支えてくれる沙希を大切に思いながら、理想と現実と間を埋めるかのようにますます演劇にのめりこんでいく。(映画.comより転載)

 

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まずは前途のスタッフの方のコメントだが

たしかにスタジオで撮っているとは思えないほど自然で

窓のむこうの朝/昼/夜の明かりは自然光と見間違える

 

作中2カット

屋外と室内が同時に映し出される瞬間があるが

この2か所だけ実際に存在するアパートでの撮影だったようだ

 

それを見せられてしまうと

尚更、観客はセットと疑うことがなくなるだろう、映画の手品、、、

  

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愛する男に合わせる「女」

誰にも合わせず生きる「男」

この二人のデリケートな愛の日々

 

相手の夢を叶えてあげようとはせず

自分の夢だけを追う身勝手な男

 

それでも男の夢のために

寄り添う女

 

現代に「大和撫子」は、いないといわれているが

男の理想とも、今では男の幻想とも、そう思える女性像を松岡茉優が演じる

献身的で優しい松岡に対して身勝手な男

ヒモのようでもあり

まるで女は母親のようでもある

主人公の男いわく「主張と反応と感情を同時に表わす」女を松岡は見事に演じている

 

観客は何度も健気な彼女に同情し

男に対して『女にもっと優しくしてやれよ』と心の中で呟くことになる

 

その主人公の男を山崎賢人が演じているが

今までの役と違う男の色気を発している

 

また

主人公の親友に

佐藤浩市の息子、すなわち三國連太郎の孫である寛一郎

 

劇団員の紅一点を

<全裸監督>でスタッフの役をやった伊藤沙莉が演じている

 

登場する全ての演者たちも魅力的だ、、、

 

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原作の又吉の発想の面白さと

行定監督の描く映画ゆえの良さを併せ持った

理想的な原作ものの「映画化」

 

たとえば又吉

「バーの棚に並んだ酒で誰が一番強そうか」なんて会話の発想は

いかにもお笑い芸人の感覚

主人公二人のこの会話のシーンはとても面白く素敵だ

 

ほか、好きなエピソード

*ブロック(これ、ボクも若い頃同じことしてた)

*クリントイーストウッド

*光熱費

*梨

 

たとえば行定

原作によれば、主人公は男が大阪で、女が青森出身なのだが

本編ではそういうことには一切触れない

映画の中で必要でないものを次々と削ぎ落していくが

それでも夢を持って上京した二人であることは説明しなくても十分伝わる

 

ちなみに又吉氏の小説

芥川賞を受賞した「火花」より、この「劇場」の原作の方が、ボクは好きだ、、、

 

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ラストのオチはネタバレ厳禁だ

原作にはない、映画的なサプライズが用意されている

単なる原作の忠実な映像化ではないことの

行定監督なりの意地と誇りを感じた!きわめて映画的な手法で、、、

 

気にせず観るべきだが

それでも、ネタバレ歓迎者は以下の文章(白地部分)をスクロールすれば読める

 

ラストの光景を見て

ほとんどの人が<蒲田行進曲>というだろうね

でもね、こういうオチは<蒲田行進曲>の前に

寺山修司が<田園で死す>でやっており

寺山がパクる前今村昌平が<人間蒸発>でやっていること

しかし、本編を通して一人称で主人公によって語られるスタイルが

ラストにつながっていたことを観客は最後に知ることになる

 

まさかの大どんでん返し、、、

 

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せっかく無料で(Amazonプライム会員なら)

現在ロードショー中の作品が観れるのだから

この機会に観ておくべき作品

 

たしかに今年を代表する作品になるだろうから

絶対に観るべきだ、、、

 

とにかく松岡が可愛いし

とにかく山崎がカッコイイ(ちょっと汚いけど)

 

4☺

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