のちに一流の監督になるような人は
きまって初期(たいがい初監督作品)に優れた作品を残している
パゾリーニも初めての監督作品で<アッカトーニ>を残している
それまで
<カビリアの夜>などの傑作、名作の脚本を書いていたパゾリーニの処女監督作品
夜は賭博、昼は酒を食らいながら仲間とバカ話と賭け事に暮れる男たちはヒモ家業
怠け者で「働くのは下司のすること」と言い放つ
まるで空から金が降ってくるの待っているかのように、兎に角働かない
新しく眼を付けた女にプレゼントするために元妻にたかり
ほとんど顔を合わせたことのない自分の子供の
首にかかっていたアクセサリーを奪って金にする
「喰うために盲人の金を奪った」「父親の入れ歯まで売った」「子供の食事も横取りした」とまるで武勇伝のように語って笑う
こんなクズ
どうしようもないクズが主人公
それでもプライドは高く
根拠のない自信は満々で
それが邪魔して何も上手く行かず、愚か
結局
女を食い物にして働かせ、淫売にする、ヒモでいる
それでいても
そんなヤツなのに言うことのスケールだけは大きい
「世界が俺をやるか、俺が世界をやるかだ!」
まるで、ローランドのような言葉を吐く
いや、ローランドがこの映画参考にしているのか?
自分を馬鹿と思わないバカほど始末に置けない者はない
根拠のない自信であふれている奴ほど始末に置けない
背後に十字架と天使
映画の冒頭
いつものように昼間っから連中は
酒を食らいながらウダウダとだべっていると、
働いている友人が通りかかる
花屋で働いているようで花を抱えていると
「仕事なんかすると死ぬぞ」と皆でからかう
その後
「食ってからすぐに泳ぐと死ぬ」かどうかで口論がはじまる
主人公は「そんなことはない」と言い、自分が実践してみせると、
友人とメシをくらい、その後上半身裸になり橋の上に立つ
高い高い橋の上から男は水の中へと飛び込み
無事、岸に上がり賭けに勝つ
最初から「死」であふれているんだよね
死ぬかどうかの賭け事
メシを食らっている間も友人と「死」について話している
生きるための「食」の間に「死」が漂う
作中
危ない予感のシーンには、甘い旋律が流れること度々
映画的な対位法
終盤
葬列のシーン
主人公の男が葬列についていくと自分の葬儀だった
男の死のイメージ
背後に教会、神様
唯一本気で愛した女のために
主人公は働きだすが
ちょっとした力仕事にもすぐに根を上げてしまう
女は自分が体を張って働くというが
男は珍しくそれを拒否する
それならば働くのかと思えば
力仕事、汗をかいて働くのは嫌だ
結局、悪友と窃盗を企てる
そして、ラストへ、、、
最初から最後まで
どこか死の臭いがまとわりつく、パゾリーニの処女作、、、