映画はつながっている
だから過去の作品を知っている方が
より新しい作品を理解できるかもしれない
それは時に
オマージュとして模倣されるだけでなく
ある時は
過去作品に対するアンサーであったりする
アカデミー賞作品賞候補にもなっている
<ジョジョラビット>を観た、、、
あらすじ
第二次世界大戦中、孤独なドイツ人少年のジョジョは周囲からいじめられており、幻想の友人のアドルフヒトラーのみが救いだったが、ある日、母親が屋根裏にユダヤ人の少女を匿っているのを発見して、、、(Wikiより)
ユダヤ人を屋根裏部屋に匿っていると聞けば
誰でもアンネフランクの「アンネの日記」を思い出すよね
ボクもね、
子供の頃初めて読んだ長い小説(いや、日記)が「アンネの日記」だった、、、
ジョージスティーヴンス監督によって<アンネの日記>として映画化された
3時間にわたる長編ではあるが
たんに物語を追ってなぞるのではなく
きちんと描かれていて
いい映画化の見本のような名作だ、、、
<ジョジョラビット>は
<アンネの日記>を意識して作られているので
<アンネの日記>を観たことのない人は観てからジョジョを鑑賞した方が
なおさら面白く感じると思う
主人公の男の子の顔を見た瞬間
映画ファンには<ブリキの太鼓>が思い起こされたのではないか?
ドイツ映画の名作であるが
主人公の男の子がジョジョに瓜二つだ
また
ブリキの太鼓の子供も
障害を負ったジョジョと重なる
監督が主演の一人も演じたユダヤ人迫害映画といえば
<ライフイズビューティフル>も思い出すね
<ライフイズビューティフル>の父親が子供に囁くように
この映画でも父親のいない主人公に
ヒトラーが父親代わり囁いて子供を励ます、、、
そして<ジョジョラビット>も
異性に対するセクシャルな部分も含めた「目覚め」も描いている、、、
<アンネの日記>での隠し部屋は広い
一方<ジョジョラビット>の隠し部屋は
かがまなけれ身が置けないほどの狭さだ、、、
<アンネの日記>の部屋は生活している感じがあるが
<ジョジョラビット>は部屋という感じではなく、より隠れている感じがする
もしかしたら監督は<アンネの日記>に違和感を感じていたのかもしれない、、、
<アンネの日記>では
主要人物の一人のおっさんが
やたらとタバコが欲しがって愚痴をこぼす
<ジョジョラビット>では
ヒトラーが
やたらと少年にタバコ差し出し奨めるシーンが登場する
少年はタバコの申し出をそのたび拒む
<ジョジョラビット>ではなくても良いようなタバコのシーンだから
ここでも監督はかなり<アンネの日記>を意識している表れだろう、、、
<ジョジョラビット>では
少女は自由になったら「踊りたい」と言い
ラストのシーンにつながっていく
<アンネの日記>でも
同じようなことをアンネが口にし
足音を立ててはいけない生活に
「踊り方を忘れそう」と悲しい顔をする、、、
<アンネの日記>のラストでは
ひとり生き残った父親が日記を読み終えた姿に
胸が締めつけられるが、
<ジョジョラビット>のラストには未来を感じる
監督の<アンネの日記>に対するアンサーがこれなんだね、、、
導入部が非常に良い
主人公の少年とヒトラーのやりとりの後
ビートルズの「抱きしめたい」
IWannaHoldYourHands~♪がかかるオープニングクレジット
戦争の暗さと対比するようななんという高揚感!
ツカミはOK!
演者も粒が揃っている
現在キャリアのピークをばく進している感のあるサムロックウェル
同じくピークとも思えるヨハンソンは存在感のある母親を演じた
そしてジョジョ役の子
「戦争映画」「暗黒映画」「狂人」「非米国製、貧富の差」「ハリウッドの闇と光」映画よりも
いっそのこと、このユダヤ人迫害と希望を子供に託した本作が
オスカーであっても良いかも知れないと、ふと思った、、、
3.5☺