たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/忠治旅日記

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埋もれているという意味では

永遠に還どることのない悲しい宿命を負った

伊藤大輔監督による日本映画の至宝でありながら

そのフィルムのほとんどが消失してしまっている

もはやその完全な姿を観ることのできない名作<忠治旅日記>を観に行った、、、

 

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宝を失った日本

宝を保存できない文化への意識の薄い日本

いろいろな歴史的な事情や理由があるだろうが

優れた文化を残せなかった事実は事実だ、、、

 

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上映の1時間前に

呑気に神保町まで出かけたが既に長蛇の列

2日間限定、たった2度の上映という希少な機会に

映画ファン、活動写真ファンが足を運んだのだ

 

どうにか売り切れギリギリの

数人前で滑り込みセーフで券を購入できたが

ボクの後ろに並んでいた5、60人の人たちは

泣く泣く家路についたのであろうか、、、

 

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今回は

現在上映中の周防監督作品<カツベン>にも出演している

坂本頼光弁士とピアノ演奏により

活動写真時代の上映を再現した

 

しかしながら

第1部「甲州殺陣篇」はほんの数秒

もっとも人気のある第2部「信州血笑篇」も10~15分ほど

そして今回の上映の中心となる第3部「御用篇」の全3部からなる

現在可能な最大限の状態で観られる<忠治旅日記>なのだ、、、

 

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第2部「信州血笑篇」は

子分を心底信用している親分忠治が

はじめて子分に裏切られ

さらに預かった子分の子供と離れ離れになるシークエンス

 

第3部「御用篇」は

逃避行の果てに病気によって衰えていく忠治と

子分たちの尽力により国定村に帰る親分

追手と最後まで戦い、そして御用になるまでの

本編の大部分が復元されている

 

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素晴らしい殺陣とコミカルな要素や恋物語も絡めた

完全なるエンターテインメント作品でありながら

見事な画も多くあり

単なる娯楽作品の枠を超えた傑作となっている、、、

 

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とくに逃げ延びた長岡での忠治

大きな酒樽を利用したショットの数々は目を奪われる、、、

 

弁士もピアノ演奏も

とても素晴らしく映像にマッチして

まったく邪魔にならないどころか

たいへん効果的に映画に作用し

観客をスクリーンの中に招き入れる

 

<カツベン>の人気にもあやかっているようだが

残されたチャンスは明日の一度きり

 

この素晴らしい傑作を見逃さないよう

できれば上映の1時間半前に大行列に並んででも

是非このめったにないチャンスを逃さず鑑賞してもらいたいと思う、、、

 

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