あの、口うるさいカイエ派の連中が
オールタイムベスト100に選んでいる
それほどに観る価値のある
日本では埋もれがちな傑作<走り来る人々>
ヴィンセントミネリは日本の比にならないほど
欧米では評価が高いね
美しい色彩と
物語の語りでみせる
でも
なかなか良い画もあるし
音の使い方が絶妙だったりする
たとえば
緊迫感のあるシークエンスと
のんびりした状況のシークエンスを交互にみせるが
音(音楽)もそのたびに切り替えていく
今なら
どちらにも同じ音をかぶせてしまいがちだが
ここでは非常に丁寧に音の出し入れ方が考えられている
主演は
フランクシナトラ、ディーンマーチン
そして、シャーリーマクレーン
この3人の名前が並ぶと
わくわくしてくるよね
とくにシャーリーはいいよね
レネーゼルウィガーが<ブリジットジョーンズの日記>で一躍有名になった時
シャーリーの後継者としていけそうな気がしたけど
その後<シカゴ><コールドマウンテン>以外パッとせず
最近ではあまり名前も聞かれなくなってしまったね、、、
シャーリーのように(いまだ現役バリバリ)
生涯をとおして活躍を続けるコメディアンヌって
なかなかいないよね
この映画でも
ちょっと冴えないながらも
チャーミングな役柄で物語を魅力的に彩っている
ストーリーは
NYの一夜限りで知り合った男女が
男の帰郷について来るとこから始まる
男(シナトラ)は16年ぶりの故郷だ
兄嫁と因縁があるようで
いままで帰郷することに躊躇していた
一方
女(シャーリー)は夜の商売を渡り歩いてきたようだが
シナトラに一目惚れしたことと
イヤな男から逃れるためにここまでついて来た
男はそもそも小説家として数冊の作品を発表したが
いまではまったく筆を持つ気にならない
除隊してから気ままなその日暮らし
バーで知り合った
ディーンマーティンとはすぐに打ち解け合い
一緒に暮らすほどのバディになっていく
そして、シャーリーとはまったく違う
たいへん教養のある美人な女性に求婚し いるが
なかなか恋は実らない
一方シャーリーには
逃げてきた男がまるでストーカーのように
追いかけてきて付きまとっている
ストーカー⇒女⇒シナトラ⇒別の女性
みんな想いを寄せる相手がいるが、一方通行、、、
追う愛、追われる愛
男は女を追い、女は追われても、心は別にある
終盤
女は男が想いを寄せ女性教師を訪ねる
そして、自分がいかに男のことを愛しているかを訴える
(せっかく実りかけている恋なのに、やめてくれ~!)
実は
この時点で女性は男の愛を受け入れ始めていたので
この女からの告白は女性を動揺させる
これをキッカケに女性は男のもとから去り
シナトラはシャーリーの愛を受け入れ結婚する
(男は一瞬の燃え上がる気持ちで、結婚という言葉出してしまう生き物なのか)
親友のディーンマーティンはシナトラに言う
「この女は嫌いではないが、結婚する相手ではないぞ」と、
シャーリーは言う
「誰だって幸福になる権利は平等にあるはずよ、私も幸せになりたいの」と、
そして、その夜結婚した二人だが、、、しかし、、、
多くの映画ファンに是非観てほしい作品<走り来る人々>
本編冒頭のシーン
もう一方の主人公(シャーリー)の姿を(後部座席)あえて映さないのがいい
「一緒に旅しようって言ったじゃない」「男は酒飲んで女に声をかけるだろう?」
「この人ここまで私を追ってきたの」
たびたびしつこく現れるストーカー男、、、「永遠に待ってなさいよ!」
夜のクラブが似合うこいつら面々
思い出に買ってほしいとせがんだクッション
男の気を引いている女性に会いに行く女
うざい、けど、一生懸命なシャーリー
他人事なら可愛く思える(自分事なら非常に迷惑)
深い画で、もう一方の対象を奥に配置する絶妙さ加減
これも同じく
内にいる主人公と、外に配置されたもう一方の主人公
「It's My Life」
10秒前までケンカしていたのに、、、「今すぐ結婚しよう」
「遊ぶ女と、結婚する女を選び間違えるな」と忠告する親友、、、本人の前で言う~?
親友の反対を押し切り結婚した男
祝福ないことに少し寂し気な二人
ストーカーがシナトラに復讐しようと企んでいることを知り、親友を探すディーンマーティン
こんなカッチョイイ画もありました
ストーカーが酒を煽り、シナトラを追いに行く、、、