ベットリと汗がにじむ暑い夏の午後
ひとりの女が半裸の姿でベットに横たわり
身体をくねられせ(マスターベーションを思わせる)
けだるく宙を見つめている
<俺たちに明日はない>のフェイダナウェイ演じるボニーで
この映画はスタートする
フェイダナウェイはあまり好かれていないし
<愛のと憎しみの伝説>なんて観たら
大嫌いになってしまうだろうけど
そうはいっても
やはり60年代後半から70年代を代表するミューズだよ
男優同様、正統派の美人女優が減り出していた頃のこと
その時代のトップランカーはフェイダナウェイだね
<俺たちに明日はない>は
かれこれ10回以上は鑑賞していると思うが
NETFLIXでかなりいい状態の映像で観れたので再び観てみた
しかし、観るたびに以前より良く感じる
名作とか言われてチヤホヤされているけど
今観るとガッカリする映画は沢山ある
今観てもガッカリしないのが本当の名作なのだが
たとえば今観るとガッカリ映画
SBM、NCP、SSNS、AANU、LEON、、、
とにかく無駄がまったくない
最初から最後まで全カット良い
編集もイイ
寄りの画の印象が強い本作だが
時々ふと抜くロングの画も良いと気づく
ラング<暗黒街の弾痕>のリメイク的にも言われるし
ニコラスレイの<夜の人々>を明らかに参考にしているが
脚本が上ふたつにも負けないほど良い
ロバートベントンによる脚本
ほんの少し長い程度で本当に良く書けている脚本だ
ボニーのためにママに会いにいくエピソードは
ピクニックのはずが
ママ以外は皆んな黒い衣装を着ているね
墓参りのイメージだね
ラストを暗示するシーンだよ
また
有名なラストだけでなく途中でスローモーションを使っている
あれは必要だったのかなぁ
ふたりの性交が初めて成功するシーンでは
今まで非常に高い位置からの俯瞰の画だと記憶していたのだけど、そうではなかった
新聞紙が二つになって舞うように風に飛ばされる
これもいい暗示ではないが、巧いね
ラスト近く
CWの親父が検察と司法取引する場面は
遠くから長玉で狙っているショット
右からパンして止まったところに
CWの親父が誰かと会話しているところが見える
その際会話はまったく観客には伝わらないが
勘が悪い人でない限り想像つくよね
演劇や、ましてや小説では有り得ない
非常に映画的なシーンだね
そしてラスト
ここもセリフはなく
モンタージュで観客に伝え
衝撃的な激しい銃撃となるが
この何度見ても凄いラストに導く
導入部分がいかにも活きているわけだね
退屈でまったく刺激のない停滞した生活のイントロダクションから
激しいクライマックスでありラストが
この一人の女が死んでしまったけど
あの生活から抜け出して悪ではあるが生き生きと生きた証、、、