たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/私が棄てた女

長らく

メディア化も、ソフト化もされず

埋もれていた<私が棄てた女>がやっとDVD化された

 

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ボクが観たくて観たくて

数年おきに日活に電話してDVD化のお願いをしたものだが

「貴重なご意見ありがとうございます。社内で検討します」と

いつもの決まり文句を聴かされ続けるだけで

いっこうにDVDにはならなかった

 

それが

ボクのお陰で(ウソ)とうとうDVD化されたのだ

 

しかし

DVDを観てみると、発売元が「日活」ではないのだ

権利関係がどうなっているのかは知らないが

ややっこしい事情があってこれまでソフト化されなかったのだろう、、、

 

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本編では

時代が変わるたびに

本来の白黒のモノクロ画面に緑などの色がつくモノクロになる

 

ま、その当時はこういうのが流行っていたような気がする

が、こういうテクニックはいらないと思うし、ボクは好きではない

しかし、ストーリーを追う上では非常に親切であるともいえる

 

終盤ではモノクロではなく、カラーになる、夢のシーンだ

運動家の学生たちが路上に大勢倒れて死んでいる

装甲車に乗った白いマスクの連中が彼らを殺したのだ

主人公も武器を手にして、そいつら(権力)に襲い掛かるが返り討ちにあう

 

そして現代のシーンに移る、いっこうにカラーだ

これは夢なのか?

 

夢も現実も

主人公にはもはや境はない

 

昔の愛人が死に

今の妻のいる

過去も現在も主人公には同一空間であるかのようだ

「ボクはミツだ」「キミもミツだ」

 

妻の浅丘ルリ子が見違えるようだ

主人公の昔の女(棄てた女)のように

顔の輪郭がふっくらし

髪型も同じようにショートで

令嬢の恰好ではなく一般庶民のようなセーター姿、、、

 

 

浦山桐郎に関しては詳しいわけではないが

本作では非常によく考えられた画作りがなされている

本来そういうタイプの監督だったか記憶にない

 

とくに

左右を意識した構図が意識的にいく通りも出てくるので以下のとおり並べてみる

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物語

自動車の部品会社に勤める吉岡努は、専務の姪のマリ子との結婚を控えていたが楽しくはなかった。かつては学生運動に青春を燃やした自分が、いまは刹那的な快楽と利益を追う並みの人間の一人になっているのを自覚していたからだ。ある夜、努は旧友の長島らとクラブの女を抱いた。その女から努はミツの噂を聞いて愕然とした--。彼女は努が学生時代に遊び相手として見つけた女工だった。愛情もなく、肉体だけのつながり、将来への希望もない中で努が肉体だけを楽しむだけ楽しんだ上、海岸におきざりにして逃げてきた女、それがミツだった。下宿も変えた努に、ミツが子供を中絶したことなど知る由もなかった。こうしてミツとの関係を断ってから、努は今の会社に勤め、マリ子から愛された。社長一家との顔合せに向かう途中で努は偶然ミツを見かけ追いかける、、、(MovieWalkerより転載)

 

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ボクの世代はまだペンパルとかペンフレンドという言葉があった

今でいえば「出会い系サイト」みたいな「SNS」の世界で知り合うような

見ず知らずの人と文通を通して知り合い

その後デートすることになるようなシステム(システムって、、、W)

 

主人公がそこで出会った女性は

性を通して愛を深めようとするが

男にとって都合の良い女でしかない

 

はじめてのデートの時も

顔を会わた喜びよりも

早く女を抱く事しか考えていない

 

さいごは

海辺の小屋で性交を済ませると女を置き去りにし

男はさっさと一人で帰ってしまう

 

いくら愛がないとはいえ、こうまでするか?

 

出逢いも不器用なら

終わり方も不器用

 

というか、クズ

 

クズにも、ほんの少しの愛はないのか?と、いうのが、この映画のお話し、、、

 

あ、そういえば、最近観た<愛がなんだ>という映画があったが

すこし重なるイメージがあるなぁ

 

時代が移っても

男と女の「愛」は厄介なものなのかもしれない、、、

 

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f:id:toughy:20190916172621j:plainロングの画も良かった

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原作者の遠藤周作氏も登場(竹中直人のモノマネではない)